2021年03月08日 15:39 公開

アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官が、同国と北大西洋条約機構(NATO)の軍隊がアフガニスタンから部隊を撤退した後に、武装勢力タリバンが急速に勢力を拡大する恐れがあると警告していたことが7日、明らかになった。

タリバンとトランプ前米政権の間の合意では、タリバンによる安全の保証と引き換えに、米軍が中心のNATO軍は5月1日までに、アフガニスタンから残りの部隊員1万人を完全撤退させることになっている。

しかしブリンケン国務長官は、アフガニスタンのアシュラフ・ガニ大統領に書簡を送り、「春の攻勢」があるかもしれないとして警戒を呼びかけた。

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米軍は2001年、米同時多発テロ事件を受けて、アフガニスタンを侵略。タリバンを政権の座から追放した。

今年1月に発足したバイデン米政権は、トランプ前政権とタリバンによる和平合意を見直す方針を示している。

バイデン政権はまた、タリバンが「約束を守る」のか見極めたいとしている。合意では、タリバンは米軍の撤退前に暴力を減らし、テロリストとの関係を断つとしている。

アフガニスタンでは、暴力事件の危険度が高い状態が続いている。ジャーナリストや活動家、政治家、女性裁判官などを狙った殺人事件が次々と起きている

ブリンケン氏の書簡

BBCはブリンケン氏の書簡を7日に入手した。

https://twitter.com/bbclysedoucet/status/1368545539642494979


その中でブリンケン氏は、アフガニスタンにおける90日間の暴力削減を要望。さらに、「永続的かつ全面的な停戦」を実現するためとして、国連が監督する新たな国際平和維持活動を提唱した。

そして、治安状態が一層悪化するのを防ぐためには、それらが今すぐ必要だとした。

また、関係国の外相や地域勢力の代表らを集めた会合を開くよう、国連に求めると説明。トルコが開催地になるとの考えを伝えた。

BBCのリーズ・ドゥセット国際問題編集委員長は、この書簡について、アメリカが同国史上最長となった戦争で平和的な解決を目指していることを強調するものだと解説。

アメリカは部隊撤退後にアフガニスタンが混乱と内戦に陥ったり、首都カブールが崩壊したりするのを防ぎたいと思っており、ブリンケン氏がガニ大統領とタリバンに圧力を強めた格好だと説明した。

アフガン政府とタリバンの和平交渉は停滞状態が続いている。ガニ大統領は6日、タリバンに対し、暴力を放棄し、新たな交渉の開催について検討するよう強く求めた。

アメリカとタリバンの合意

アメリカのトランプ前政権は、米軍のアフガニスタンからの撤退を優先課題に掲げていた。

昨年2月、タリバンとの間で合意に署名。タリバンの支配地域でアルカイダなどの武装勢力の活動をやめさせ、和平交渉を進めるという約束をタリバンが守ることができれば、米軍とNATO軍は14カ月以内に全面撤退するとした。

タリバンは歴史的な合意に基づき、米軍やNATO軍への攻撃を停止したが、アフガン政府との間では戦闘を続けている。

アフガン政府との交渉開始の条件として、タリバンは数千人規模の捕虜交換を求めていた。

両者の直接交渉は昨年9月にカタールの首都ドーハで始まったが、大きな進展はみられていない。

(英語記事 US warns of new Afghan Taliban 'spring offensive'