2021年03月09日 16:38 公開

イギリス王室のハリー王子は、米CBSが7日にアメリカで放送した2時間の特別番組で、イギリスを離れたのはタブロイド紙による妻メガン妃への人種差別が社会に広まったことが「大きな理由」だと語った。

米テレビ司会者オプラ・ウィンフリー氏が聞き手を務めたインタビューでハリー王子は、イギリスのタブロイド紙は「偏見に満ちて」おり、「支配と恐怖の有害な環境」を作り出していると述べた。

また、父のチャールズ皇太子について、こうしたメディアと「折り合いを付ける」必要があると思うと話した。

これに対しイギリスの編集者協会は、メディアは偏見を持っておらず、「富と権力を持つ者に説明責任を果たさせようと」していると語った。

共にインタビューを受けたメガン妃は、ソーシャルメディアによってメディアとの関係が「未開拓の無法地帯」のようなものになったと話したほか、英王室の広報チームは自分やハリー王子をうその記事から守ってくれなかったと述べた。

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インタビューはアメリカでは7日にCBSで、イギリスでは8日午後9時からITVで放送された。サセックス公爵夫妻は人種差別やメンタルヘルス(心の健康)、メディアとの関係、王室の人間関係など、非常にプライベートな事柄について話した。

後日インターネットで公開された未放送の動画で、ウィンフリー氏がイギリスを離れたのは人種差別のせいかと尋ねると、ハリー王子は「それが大きな理由です」と答えた。

ハリー王子は、昨年1月に公務から引退すると発表した直後に、「編集者の友人がたくさんいる人物」からメディアとの対決姿勢について警告されたと説明。「メディアとそういうことはしないでくれ、人生を壊されるから」と言われたと話した。

メガン妃はこの数カ月前に、タブロイド紙メイル・オン・サンデーを提訴していた。2019年に発表された5件の記事について、個人情報の不正使用、著作権侵害、データ保護法違反などに当たるとし、損害賠償を求めた。この件についてハリー王子は当時、メガン妃が王子の母親の故ダイアナ元妃と「同じ力の犠牲者になってしまう」と、メディアを強く非難していた。

ハリー王子は、この人物に「イギリスはとても偏見のある国だと理解する必要がある」と言われたが、「偏見があるのはイギリスではなくメディア、特にタブロイド紙だ」と答えたという。

「でも残念なことに、情報源が根本的に腐敗していたり、人種差別や偏見に満ちていれば、社会全体に広まってしまいます」

「システムの中にいた」

ハリー王子はまた、王室からの支援が得られず公務から離れると決意した夫妻に対し、「悲しいことに」家族の誰からも残念だと言われなかったと話した。

「私たちの決断なので、その結果や影響も私たちのものだという感じでした」

「僕も家族と一緒にそのシステムの中にいたからとてもつらかった」

さらに、兄のケンブリッジ公爵ウィリアム王子は「このシステムから抜け出せないが、自分は抜け出した」ということを「よく認識している」と語った。

ウィリアム王子もシステムから逃げ出したいのかという質問には、「分かりません、兄に代わって話すことはできません」と述べている。

その上で、「イギリスのタブロイド紙が作り出す関係性、その支配や恐怖は本当に、本当に有害な環境です」と話し、ウィリアム王子を含む家族を「いつでも助けたい。これまでも何が起きているかを見て、助けようとしてきた」と語った。

英編集者協会のイアン・マリー会長は、サセックス公爵夫妻は「発言を支持する証拠」なしに、メディアを人種差別的だと非難していると批判した。

「イギリスメディアが権力や名声、影響力のある人物にスポットライトを当てることに尻込みすることは絶対にない。こちらの質問が気まずいものだったり恥ずかしいものだったりすることはあるだろうが、メディアが人種差別主義だということは決してない」

「執拗な追及」

これとは別の動画でハリー王子は、昨年1月にエリザベス女王からサンドリンガム宮殿に招待されたものの、女王の個人秘書が「女王はとても忙しい」という理由で突然、これを取り下げたことがあったと話した。

「あなたが組織の長なら、助言をしてくれる人間が周りにいるでしょう。そうした助言が時にとても悪いものだということが、本当に悲しい」

一方でメガン妃は、メディアによる自分の扱いは他の王族よりもひどいものだったと話した。ウィリアム王子の妻ケイト妃が結婚前、メディアに「Waity Katie(待ちぼうけのケイト)」と呼ばれていたことにも言及しつつ、「同じ状況ではなかった」と語った。

「もしハリーの家族が『私たちはみんな無礼な事柄と折り合いを付けてきた』と言うのだとしても、無礼と人種差別は違うことです」

「同じように、あちらには自分たちを守ってくれる、特にうその情報から守ってくれる広報チームがいるけれど、私たちにはそういうことはありませんでした」

その上でメガン妃は、メディアは両親を追跡するためにお金を出すなど、「自分の世界にある全てをしつこく追及してくる」と語った。

「ここ1年間、メディアの狂気から両親を守るためにできる限りのことをしました」

一連のインタビュー映像で、サセックス公爵夫妻は他にもさまざまな話題に触れた。

  • メガン妃は、王室の生活はあまりに困難で、「これ以上生きていたくないと思った」こともあったと打ち明けた
  • ハリー王子は、王室メンバーの1人から生まれてくる息子の肌が「どれくらい黒くなるか」尋ねられた
  • この発言は祖父母のエリザベス女王とフィリップ殿下のものではないとハリー王子から言われたと、ウィンフリー氏は放送後に述べた
  • 公爵夫妻は、夏に出産予定の第2子が女の子であると明らかにした
  • 2人は2018年5月の結婚式の3日前に、「裏庭」でカンタベリー大主教の前で結婚の誓いを立てたという
  • ハリー王子は、兄ウィリアム王子と父チャールズ皇太子が王室という「システムに捕われている」と語った
  • また、昨年初めに公務引退の意思を明らかにした後、王室から経済的な支援を断たれたほか、チャールズ皇太子がハリー王子からの電話を取らなくなったと明らかにした
  • その上で、兄と父を愛しているし、2人との関係を修復したいと語った
  • メガン妃は、フィリップ殿下が2月に入院した際、エリザベス女王に電話をかけたと話した

公爵夫妻のインタビューについて、アメリカのジェン・サキ・ホワイトハウス報道官は、2人が個人的な話題やメンタルヘルス(心の健康)をめぐる葛藤について話したのは「勇気がいることだった」だろうと述べた。

一方イギリスのボリス・ジョンソン首相は、「王室の事情」について自分は「もう長いことコメントしてこなかった」のだし、「(その習慣を)今日になってやめるつもりもない」と述べた。

(英語記事 Harry: Tabloid racism 'large part' of why we left