ロバート・D・エルドリッヂ(エルドリッヂ研究所代表、元在沖縄米海兵隊政務外交部次長)

 東日本大震災から10年が経過したが、私にとってはまるで昨日のようだ。こうした思いの中で振り返れば、米軍による救援活動の「トモダチ作戦」に携わることができ、大変光栄に思っている。

 震災以来、被災地との交流は今日まで続いており、先日15回目の訪問を終えたところだ。これらの訪問は復興過程の支援と共に、その悲劇の教訓が風化しないようにするためだ。

 震災が起きるちょうど5年前の2006年3月から、私はすでに、日本の大規模自然災害時における米軍活用に関する提言書を共同で執筆し、発表していたが、残念ながら当時はその提言が顧みられることはなかった。

 だが、東日本大震災のとき、私は仙台市の陸上自衛隊東北方面隊総監部がある仙台駐屯地で米海兵隊・在日米軍前方司令部の政治顧問として働き、改めてこの提言を国内外の新聞で発表した。
  
 この提言書には、私が神戸大大学院生の頃、ボランティアとして阪神淡路大震災(1995年)に携わった個人的な経験と、ハワイの米海兵隊太平洋軍初代客員研究員としてスマトラ地震と津波への早期対応の立案に携わった経験、そして10年間の研究活動に基づいて執筆したものだ。

 東日本大震災においては、米軍が日本の災害に対応する上で必要だと証明はされた。しかし、それまでは在日米軍が自衛隊を除く国の機関や地方自治体レベルでの協力が、政治的な理由で事前調整および協力支援が妨げられていた。

 もっとも興味深いことに、この震災によってかつてないほど米軍と自衛隊間の緊密な関係もまた進展した。陸海空のそれぞれの自衛隊と米軍とで、かつて存在していなかったほどの統合運用の気概が醸成(時には強制)されたのだ。

 提言書では、以下に述べる内容が重要だ。それは災害時には最も被害を受けるだろう地域が、災害前から在日米軍との事前の連携を訴えているケースをくみ取り、現実的な政策に落とし込むことだ。

 互いを知り、互いのコミュニティー(米軍の場合は基地や部隊)を訪問し、双方の強みや弱み、懸念や疑問を発見する必要性をこの提言書では強調している。
「トモダチ作戦」を終え、島を離れる前に上陸用舟艇(LCU)に乗り込む米軍海兵隊隊員らに握手を求める住民ら=2011年4月6日、宮城・気仙沼市大島(大西史朗撮影)
「トモダチ作戦」を終え、島を離れる前に上陸用舟艇(LCU)に乗り込む米軍海兵隊隊員らに握手を求める住民ら=2011年4月6日、宮城・気仙沼市大島(大西史朗撮影)
 もちろん、米軍は適切な公式ルートを通じて依頼されれば救援活動や支援を行う。一方で地方自治体の首長たちやカウンターパートとの協力関係を持ち、相互の信頼関係が確立されていれば、より効果的な対応が可能となる。

 日本が今後直面するであろう潜在的災害地域には、沿岸部や山間部の孤立した地域が数多くある。そのため自衛隊や地方自治体が今後、トモダチ作戦のような共同運用をするには事前に在日米軍との連携が必要不可欠だ。