2021年03月10日 12:48 公開

英ITVの朝の番組司会者ピアス・モーガン氏が、英王室サセックス公爵ハリー王子の妻メガン妃は信用できないと番組内で発言して物議を醸し、9日に降板が発表された。

メガン妃は7日放送の米CBSの特別番組のインタビューで、聞き手の米テレビ司会者オプラ・ウィンフリー氏に、自らの精神衛生状態などについて語っていた。

モーガン氏は8日、司会を6年間務める番組「グッド・モーニング・ブリテン」で、メガン妃の発言を「一言たりとも信じない」と発言した。

英情報通信庁(オフコム)は、モーガン氏のメガン妃に関するコメントに対して4万1000件の苦情が寄せられたことを受け、調査に乗り出したと発表。その後、ITVはモーガン氏の降板を明らかにした。

ITVの広報担当は「ピアス・モーガンはITVと協議の結果、『グッド・モーニング・ブリテン』を辞する時だと決心した。ITVはその決心を受け入れるし、それ以上何もない」と述べた。

ITVはBBCに対し、モーガン氏は直ちに降板するとしたが、誰が10日以降に後任を務めるのかは明らかにしなかった。

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モーガン氏は9日夜、元マネージャーのジョン・フェリター氏(故人)と並んで撮影した自身の写真をツイッターに投稿。「彼ならまったく同じことをしろと私に言っただろう」と書き込んだ。

また10日朝には、自身が不在の「グッド・モーニング・ブリテン」が始まると同時に、ツイッターで「自分は月曜、オプラ・インタビューのメガン・マークルを信じないと言った。それから時間をかけて自分のこの意見の検討してみたが、今も信じていない」と書いた。さらに、「表現の自由のためなら喜んで死ぬ」とも書いた。

モーガン氏は9日の同番組で、気象情報担当の司会者アレックス・べレスフォード氏から、メガン妃を「けなし続けている」と批判されると、怒りをあらわに立ち上がり、スタジオから姿を消した。モーガン氏は10分もたたないうちに戻った。

ITVのデイム・キャロリン・マコール最高経営責任者は9日、「(メガン妃の)発言を全面的に信じた」と述べ、同局として精神衛生の問題を「非常に重視している」と表明した。

精神衛生の問題に取り組む慈善団体マインドもモーガン氏を非難。発言に「落胆した」と述べた。

モーガン氏の発言

モーガン氏は8日の番組で、自殺を考え、王室関係者幹部に支援を求めたが拒まれたとするメガン妃の主張を取り上げた。

「誰に求めたというのか?」とモーガン氏は発言。「その人たちは何と言ったのか? 申し訳ないが、メガン・マークルの言うことは一言たりとも信じない。彼女が天気予報を読み上げたとしても信じない」と述べた。

さらに、「私たちの王室に対して彼女がこうした猛攻撃をしたのは、軽蔑に値すると思う」とメガン妃を批判した。

モーガン氏はまた、この日の番組終了後、ツイッターでメガン妃を「ピノキオ王女」と呼んだ。

これらの発言には激しい批判が起こった。モーガン氏は9日の番組で、「(メガン妃の発言の)多くが真実なのか、まだかなりの懸念を抱いている」とした一方、「彼女が自殺を考えたかどうか、私は疑問を投げかける立場にはない」と述べた。

また、「本当の懸念は、率直に言って、疑念を感じるということだ(中略)彼女は王室の有力メンバーに接触し、自殺を考えることがあると伝えたところ、家族のイメージを悪化させるから支援は受けられないと言われた、ということについてだ」と説明した。

発言への反応

メディア監督当局のオフコムには、9日午後2時までに4万1015件の苦情が寄せられた。これはオフコムが発足してからの17年間で2番目に多い。最多は、2007年の人種差別的な放送内容をめぐって、数日間に寄せられた4万4500件。

オフコムの広報担当は「8日の『グッド・モーニング・ブリテン』について、有害・中傷などに関して定めた規則に基づく調査を開始した」と述べた。

慈善団体マインドは、「自殺を考えたというメガンの経験を信じないというピアス・モーガンの今日のコメントに、落胆と懸念を覚えた」とツイート

「人々が支援を求めたり、精神的な不調の経験について語ったりする時には、尊厳と敬意、共感をもって対応することが重要だ。ITVとは現在、この問題について協議中だ」とした。

ツイッターでは、「モーガンが番組を辞めるのは勝利だ」、「何年間もマーケル(メガン妃)を攻撃し、トランスジェンダーを嫌悪し、性差別をしていた段階で辞めさせるべきだった」などと、モーガン氏の降板を歓迎する投稿が相次いだ。

一方で、「彼の司会ぶりは見事で、すぐにテレビ界に復帰するだろう」、「あなたを支持する。あなたは意見を表明することで報酬を得ていることを、人々は忘れている」などと、モーガン氏を応援する書き込みもあった。

女優ジャミーラ・ジャミル氏は、モーガン氏の「私に対するうそと憎しみの容赦ないキャンペーン行動」によって、自殺を考える状況に追い込まれたことを告白した

モーガン氏とは

モーガン氏は1965年、イースト・サセックスの村で生まれた。ジャーナリズムを学び、地元紙から英タブロイド紙サンに移り、芸能コラムを書いた。

28歳でニュース・オブ・ザ・ワールド紙の編集長に就任。その翌年にはデイリー・ミラー紙の編集長となり、英全国紙の最年少編集長の記録を塗り替えた。

デイリー・ミラーは評価が高まったが、モーガン氏は2004年、英兵がイラク人捕虜を辱めている場面とされた偽造写真を1面に掲載することを認めた責任を問われ、辞任に追い込まれた。

その後、テレビ界に進出。ITVで番組をもち、有名人にインタビューするなどした。ITVのオーディション番組「Britain's Got Talent」で審査員を務め、歌手スーザン・ボイル氏のデビューに関わった。2010~2014年には、米CNNのトーク番組の司会者を務めた。

2015年からはITVで、今回降板した番組「グッド・モーニング・ブリテン」の司会者を務めてきた。モーガン氏はツイッター時代にぴったりの、率直な物言いの悪役を演じてきた。

(英語記事 Piers Morgan leaves GMB after Meghan complaints