2021年03月13日 11:59 公開

日米豪印4カ国の首脳は12日、東南アジアを中心に、アジア諸国に新型コロナウイルスワクチン10億回分を2022年末までに提供することで合意した。

ジョー・バイデン米大統領が司会するバーチャル会議が、アジアへのワクチン提供に合意した。「巨大な合同作業」で、当初は東南アジア諸国を中心に、米ジョンソン・エンド・ジョンソンが開発した接種1回で免疫が得られるワクチンを提供していく。製造はインドの製薬会社バイオロジカルが担当する。

ジョンソン・エンド・ジョンソンのワクチンは12日、世界保健機関(WHO)の承認を得た。

ジェイク・サリヴァン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は合意から間もなく、「インドの製造力とアメリカの技術力、日本とアメリカの資金力とオーストラリアの物流技術によって(中略)接種10億回分のワクチンを確実に提供する」とコメントした。

ワクチンは東南アジア諸国連合(ASEAN)のほか、「太平洋とそれ以外」にも提供されるという。

インドのナレンドラ・モディ首相は会議後、「インドの強力な生産力が、日本とアメリカとオーストラリアの支援を受けて、さらに拡大する」とツイートした。

モディ首相によると、4首脳の初会合は「ワクチン、気候変動、最先端技術」など多岐にわたる話題を話し合った。

インドのハルシュ・ヴァルダン・シュリングラ外務次官は、「4カ国は資金や製造能力や物流能力を合わせ、COVID-19ワクチンの製造と供給を拡大するための計画で合意した」と述べた。

「クアッド」は、アジアにおける中国の勢力拡大に対抗するための多国間グループのひとつとみなされる。バーチャル会議後の首脳コメントは、「自由で開かれた」アジアに言及するなど、言外に中国政府を批判する論調となった。

会議の進行役を務めたバイデン米大統領は声明で、「この地域が引き続き、国際法に統治され、普遍的な価値観を重視し、威圧のない場所であり続けるため、我々は取り組み続ける」と述べた。

スコット・モリソン豪首相は、今回の4カ国首脳会議が「新しい夜明け」を意味すると述べた。

一方で、日本の菅義偉首相は中国に対してもっと明確に批判的な態度を示し、記者団に「中国による一方的な現状変更の試みに強く反対することを訴えた」と説明。他の首脳からも支持を得られたと話した。

「クアッド」(4つの、などの意味)と呼ばれる4カ国のグループは、「Quadrilateral Security Dialogue(4カ国安全保障対話)」の略。2007年に結成されたものの、翌年に当時のケヴィン・ラッド豪首相が離脱したため、有名無実化していたが、米中対立が先鋭化した2017年後半にアメリカのトランプ前政権が復活させた。

4カ国の首脳会議は今回が初めて。

「クアッド」の公式声明では中国への直接的言及はほとんどなかったが、中国の国営メディアは批判的な論調を伝えた。中国の環球時報は「クアッド」首脳会議について、各国は合意内容より自国利益を優先させるはずで、4カ国の連携は「空疎なおしゃべりクラブ」に過ぎないという専門家の論評を報じた。

新型コロナウイルスワクチンを通じた外交については、中国も自国製のワクチンを諸外国に提供しようと、特にアジア・太平洋地域で攻勢を強めている。

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中国外交部によると、ワクチンを喫緊に必要としている開発途上国69カ国にワクチンを無償で提供し、さらに43カ国に輸出しているという。


<解説> 背後にそびえる中国―――バーバラ・プレット=アッシャー米国務省担当編集委員

この民主国家4カ国の協力は、2004年のスマトラ島沖大地震と津波への対応と合同支援を機に始まった。

しかし今回、バイデン大統領は初めて首脳級の強力の場として活用を始めた。中国に対抗するための戦略的「重し」を強化するという、政策の一環だ。

バイデン政権は、「クアッド」を中国に対抗するためのものと限定しないよう、慎重に動いている。しかし、アジア地域だけでなく世界全体で勢力を伸張しようとする中国の動きに対して、アメリカは外交を通じて同盟関係の強化を図っている矢先だ。

首脳会議後の各国の発言には、間接的にでも中国を念頭に置いた内容がたくさんあった。クアッドの首脳は「自由で開かれたインド・太平洋」地域の重要性を強調したが、この地域はまさに今、中国から安全保障上の挑戦を受けている。

アジアで新型コロナウイルスワクチンの製造と供給を大々的に拡大することで、4カ国は中国のワクチン外交に対抗できるようになる。

さらに、重要な技術や最先端技術で協力し合おうという4カ国の姿勢も、サイバー空間における中国の影響力や活動の拡大に対する懸念から生じているものだ。


(英語記事 Covid: US and allies promise one billion jabs for South East Asia