2021年03月14日 12:27 公開

英ロンドン南部クラパムで3日夜に帰宅途中の女性が行方不明となり、ロンドン警視庁の現職警官が誘拐と殺人の疑いで訴追された事件で13日、女性の追悼集会が開かれた。イングランドでは新型コロナウイルス対策で集会が規制されており、警察が集った女性たちに手錠をかけるなどして現場から排除する事態となった。

クラパムの緑地公園「クラパム・コモン」にはこの日、遺体となって発見された会社員サラ・エヴァラードさん(33)を追悼するため、女性を中心に大勢が集まっていた。警察は一部の女性に手錠をかけ、追悼場所から排除した。

オンラインに投稿された動画では、丸い野外ステージ上に立つ複数の女性を警官が排除しているのが確認できる。

居合わせた人たちが「恥を知れ」、「みんなを放せ」などと叫ぶ声も聞こえる。この動画には女性たちが警察車両に乗せられ、連行される様子が映っていた。

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英野党・自由民主党のサー・エド・デイヴィー党首は、追悼集会での取り締まりは「全く恥ずべき」ことで、ロンドン警視庁のクレシダ・ディック警視総監は「ロンドンに住む何百人もの女性の信頼を失った」とツイート。ディック氏は辞任すべきだと主張した。

プリティ・パテル内相は、ソーシャルメディア上の動画は「懸念される」ものだとし、ロンドン警視庁に「何が起こったのか完全な報告」を提出するよう求めたとツイートした。

ロンドンのサディク・カーン市長(野党・労働党)も「容認できない」とし、ディック警視総監から「緊急に説明を求めている」とツイートした。

「警察には新型ウイルス関連法を施行する責任はあるが、私が目にした映像から、対応が適切でも相応なものでもなかったことは明らかだ」

ロンドン南部ランベスの警察はツイッターで、「何百人もの人が規則に違反して密集し、公衆衛生上のリスクがあった」と当時の状況を説明した。

「我々は市民に帰宅するよう求めており、現場を離れてくれた人に感謝している」

フェミニスト団体「Sisters Uncut」は「複数の男性警官が日没を待って、女性たちをつかんだり手荒く扱い始めた」と主張した。

クラパム・コモンでの追悼集会を企画し、後に中止した団体「Reclaim These Streets(道路を取り戻そう)」は、「法的に危険な状態」に陥るおそれがあるため、集らないよう呼びかけていた。警察が新型ウイルス対策をした安全な方法で追悼集会を計画することに「建設的に取り組まなかった」ことが理由という。

同団体は一方で、エヴァラードさんが最後に目撃された時刻に合わせ、午後9時半に自宅の玄関先でキャンドルや明かりをともすよう呼びかけていた。

シャーロット・ニコルス影の女性・平等担当相(労働党)は、「ロンドン警視庁が当初から、『Reclaim These Streets』が当初予定していた悲しみと連帯を示す追悼集会を(裁判や強引な身体的対応で)阻止することではなく、新型ウイルス対策を施した安全な追悼集会の支援に力を注いでいれば、ずっと状況はましだっただろう」とツイートした

警察による集会参加者の排除は13日夜に起きたが、市民は終日にわたってクラパム・コモンを訪れ、野外ステージに花を手向けたり敬意を表すなどしていた。

英王室のウィリアム王子の妻、ケンブリッジ公爵夫人キャサリン妃は同日午後に私的にクラパム・コモンに足を運び、野外ステージで足を止める姿が目撃された。エヴァラードさんや遺族への表敬が目的だったとされている。

ボリス・ジョンソン英首相は婚約者キャリー・シモンズ氏と共に、ダウニング街10番地の首相官邸の出入り口に置かれたキャンドルに火をともした。

これに先立ち、ジョンソン首相はツイッターで、エヴァラードさんの「家族や友人たちを思っている」、「街の安全を確保するために自分にできる限りのことをしていく」と述べた。

英スコットランドのニコラ・スタージョン自治政府首相は、「サラのために」自宅に設置したキャンドルの写真をツイート。ウェールズのマーク・ドレイクフォード自治政府首相は「変化のために火をともそう」と市民に呼びかけた。

こうした追悼に先立ち、エヴァラードさんの誘拐と殺人の疑いで訴追されたロンドン警視庁のウェイン・カズンズ警官(48)がウェストミンスター治安判事裁判所に出廷した。

エヴァラードさんの遺体は8日、英南東部ケント州の森林でコンテナバッグに入れられているのを発見された。身元確認は歯科所見で行われたという。

エヴァラードさんの死をきっかけに多くの女性が、街なかを1人で歩く際の安全性や自らの経験を共有している。

(英語記事 Met criticised over Sarah Everard vigil policing