2021年03月16日 14:02 公開

北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の実妹、金与正(キム・ヨジョン)氏は15日、国営メディアでアメリカに「騒ぎを起こすな」と警告した。

与正氏は金委員長の実妹。きょうだいの中で唯一、委員長と親密で強力な味方とされる人物だ。与正氏をめぐっては、韓国の情報機関・国家情報院が先に、これまでより多くの権限が委譲されていると明かしたばかり。

北朝鮮は、ジョー・バイデン米大統領の就任について、認識していると示す発言をしていない。

バイデン政権は近く、朝鮮半島政策を明らかにする予定で、今週にはアントニー・ブリンケン国務長官とロイド・オースティン国防長官が韓国ソウルを訪問する。

一方ロイター通信は、バイデン政権が2月中旬から北朝鮮政府との接触を試みているものの、北朝鮮側から反応がないと報じている。

北朝鮮の国営・労働新聞によると、与正氏は「海の向こうから我々の国土に火薬の臭いをまき散らそうとしているアメリカの新政権に助言がある」と発言。「向こう4年、平和のうちに眠りたいなら、まずは騒ぎを起こさないよう気をつけることだ」と述べた。

与正氏はまた、アメリカと韓国による合同軍事演習を批判した。北朝鮮はこの軍事演習を侵略の準備とみており、「韓国政府はまた『戦争への行進』、『危機への行進』を選ぼうとしている」と話した。

ブリンケン国務長官とオースティン国防長官は初の外遊で、15日から17日まで日本を訪問。その後、17日から韓国を訪れる予定で、北朝鮮の核開発が大きな議題になるとみられる。

バイデン大統領はすでに、ドナルド・トランプ前大統領の北朝鮮政策を見直すと発表しており、4月にも詳細が明らかになる見通しだ。

バイデン氏は昨年の大統領選中に金正恩氏を「ちんぴら」と呼び、アメリカや国連による厳しい経済制裁を緩和するには北朝鮮の核軍縮が必要だと強調していた。

2017年に北朝鮮が米本土の都市を攻撃できる長距離ミサイルの発射実験を行ったことで、米朝関係は急速に冷え込んだ。その後、トランプ氏が金氏との個人的な関係性を築く中で両国の緊張は和らいだ。

トランプ氏と金氏は3度にわたり首脳会談を重ねたものの、ほとんど成果は得られなかった


<解説>ローラ・ビッカー・ソウル特派員

ソウルに住む大勢にとっては、想定内のことだ。韓国とアメリカが合同軍事訓練を行えば、北朝鮮は大抵、反応するのが常だ。時にはミサイル発射という形で、あるいは今回のように、怒りの言葉を連ねて「軍事演習」を批判する。

金与正氏はもうしばらく前から、実兄・金正恩氏のお気に入りで、兄の代わりに周囲にほえて回る番犬の役割を果たしている。今回も例外ではない。与正氏は合同軍事演習、そしてアメリカの国務長官と国防長官の訪韓という2点を槍玉に挙げた。

与正氏が発言したことで、アメリカと韓国は少なくとも、北朝鮮がホワイトハウスからの連絡には応じなくとも、両国の動向を観察していることを確認した。

与正氏は、北朝鮮が米韓の協議内容にどう対抗していくのか、具体的なことは述べなかった。しかし、「警告したぞ」と言っているのだ。


(英語記事 Kim Jong-un's sister to US: Don't 'cause a stink'