2021年03月16日 14:26 公開

ミャンマー国軍は15日、先月1日にクーデターに対する抗議行動が始まって以降で最悪の死者が出たことを受け、最大都市ヤンゴンの一部に出していた戒厳令の対象地域を拡大した。

ミャンマー国軍のクーデターに対する抗議行動では、14日に各地で兵士や警察が抗議者に発砲。約50人の死亡が報告された。その多くはヤンゴンで犠牲になった。

ミャンマーの人権団体、政治犯支援協会(AAPP)は、国軍の弾圧でこれまでに120人以上が死亡したとしている。

国軍は当初、ヤンゴンのラインタヤ地区と、隣接するシェエピタ地区の中国系の商業施設が襲撃されたのを受け、この2地区に戒厳令を出していた。

翌15日にはヤンゴンと第2の都市マンダレーの複数地域にも戒厳令を出した。対象地域の抗議者は軍事裁判所で裁かれる可能性がある。

デモ参加者らは中国がミャンマー国軍を支援していると考えているが、国軍による先週末の攻撃に誰が関与しているのかは不明。

中部ミンジャンやアウンランでは15日に治安部隊が抗議者に発砲し、複数の死傷者が出たと報告されている。

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国軍によるクーデターでは、政権与党だった国民民主連盟(NLD)の指導者アウンサンスーチー氏など、同党幹部らを拘束。NLDが大勝した昨秋の総選挙で大規模な不正があったことを、政権転覆の理由にしているが、証拠は示していない。

クーデター以降アウンサンスーチー氏は拘束されているが、所在は分かっていない。抗議者たちは同氏らの釈放を求めている。

アウンサンスーチー氏は自然災害管理法違反の疑いや、無線機を違法に輸入し使用した疑いで訴追されている。支持者たちはこれらの訴追は「でっち上げられたもの」だと主張している。

有罪となれば数年の懲役刑が科され、今後の選挙出馬を禁じられる可能性もある。

同氏は15日に裁判所にバーチャルで出廷する予定だったが、インターネットのトラブルで延期となった。

国軍は11日、アウンサンスーチー氏が60万ドル(約6500万円)と金11キロを違法に受け取った疑いがあると非難した。

追放された国会議員が「革命」呼びかけ

クーデターによって追放された国会議員の一部は、クーデターは不当だとして身を隠すとともに、新組織の連邦議会代表委員会(CRPH)を設立。リーダーに選出されたマンウィンカインタン氏は、初の公の場での演説で、現在の動きを「革命」と呼び、軍の弾圧から身を守るようデモ参加者らに呼びかけた。

「今この国は最悪の時期にあるが、夜明けは近い」、「民衆蜂起は勝利しなくてはならない」とマンウィンカインタン氏は述べた。

国軍はCRPHを違法組織とし、協力者は反逆罪に問われると警告している。

国際社会が非難

クーデター以降、国軍は抗議行動を鎮めるために殺傷能力のある武器を使用し、数十人の死者を出している。この状況は国際的に広く非難されている。

アメリカはクーデターの指導者に対する制裁を発表するとともに、米国内に保有する10億ドル(約1000億円)のミャンマー政府資金に国軍がアクセスできないよう遮断する措置を講じている。

国軍は自らの行動に対する批判を一蹴し、アウンサンスーチー氏に暴力行為の責任があると主張している。


<分析>中国への不信感――マイケル・ブリストウ、BBCワールドサービス、東アジア担当編集長

中国が出資するミャンマーの工場を狙ったのが何者か、明らかになっていない。

中国は、破壊行為の実行犯が武器やガソリンを持ってバイクでやって来たとして、計画的な攻撃だったとしている。一部の抗議者は、関与を否定している。しかし、中国がミャンマーの軍事政権を支援しているとの考えから、ミャンマー国内では反中感情が広がっている。

中国政府はクーデターを全面的に非難していない。これが、ミャンマー市民の反発をあおる一因となっている。中国国営メディアは当初、クーデターを単なる「内閣改造」と呼んでいた。

こうした中国の姿勢が、ミャンマーに以前から根強くあった中国への不信感を深めている。近年、中国が出資するダムや銅山などのプロジェクトは、中国に過度の影響力を与えることになると、ミャンマー国内で批判されている。ミャンマー国軍との密接な関係が、中国のイメージ悪化につながったこともある。

中国政府は、ミャンマーの抗議者の側にも国軍側にもつかない、公正な仲裁者を自認している。しかし抗議者にとってそれは、受け入れがたいことだ。


(英語記事 Martial law extended after deadly day in Myanmar