2021年03月17日 11:41 公開

米国家情報長官室(ODNI)は16日、昨年の米大統領選でロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、ドナルド・トランプ前大統領を有利にするための工作を承認した可能性が高いという報告書を発表した。

ODNIによると、ロシア政府はジョー・バイデン氏について「誤解を招く、あるいは根拠のない」否定的材料を広める工作をした。ただし、米大統領選の投票手続きや選挙結果そのものに外国政府が具体的な影響を与えた証拠はないという。

ロシアは選挙介入の指摘をこれまで繰り返し否定している。

ODNIは15ページにわたる報告書で、「影響工作」と呼ぶ動きをロシアだけでなくイランも展開していたと指摘した。

ロシアの工作については、昨年11月3日の大統領選に先駆け、バイデン氏の不利になりそうな根拠のない情報を、ロシアとつながりのある人物を通じて広めるなどしたという。さらに、選挙プロセスそのものへの世間の信頼を損なおうと、偽情報を拡散する工作を展開したとしている。

ODNIはさらに、ロシア情報機関とつながりのある複数の人物が、バイデン氏をおとしめるための偽情報を、アメリカのメディアや政府高官、トランプ氏の側近や支持者などに次々と提供していたと結論した。

ODNIによると、ロシアがトランプ氏を勝たせようとしたのに対し、イランは自分たちに強硬姿勢をとるトランプ氏を不利にしようと「多方面にわたる秘密の影響工作」を展開した。

報告書はさらに、中国政府は大統領選を前に「介入工作の実施」を控えたと結論している。米政府はかねて中国がサイバー工作でスパイ活動を展開していると非難している。

ODNIは、「中国はアメリカとの関係安定を求めた。選挙でどちらが勝っても、中国にとって特段に有利になるわけではなく、工作が露見した場合に反撃されるリスクは見合わない」と判断したと説明している。

ODNI報告とは別に、米司法省と国土安全保障省の合同調査でも、同様の結論が出ている。

司法省と国土安全保障省は、「ロシアとイランによる幅広い工作は、複数の主要インフラセクターを標的にし、これが一部の選挙活動を管理する複数ネットワークの安全を損なった」ものの、このような介入行為の大半は間接的なものだったと強調した。

「有権者登録や投票、開票作業や開票結果の報告といった、投票プロセスの実務面そのものに、外国勢力が影響しようとしたという兆候は得ていない」と、両省は報告した。

米政府の各情報機関は昨年8月、中国、ロシア、イラン各国が秋の大統領選に積極的に介入しようとしていると報告していた。当時はロシアがバイデン氏を中傷しようとしているほか、中国とロシアはトランプ氏の落選を期待していると、各情報機関は判断していた。

(英語記事 Russia's Putin authorised pro-Trump 'influence' campaign, US intelligence says