2021年03月22日 12:09 公開

英イングランド公衆衛生庁(PHE)の予防接種責任者、メアリー・ラムジー博士は21日、世界各国で新型コロナウイルスワクチンの接種が完了するまでは、イギリスではマスク着用や社会的距離の確保といった基本的な感染防止措置が続く可能性があるとの見解を示した。日常生活に戻るまでにあと数年はかかるとしている。

ラムジー博士は、大規模イベントの再開には注意深い監視と、安全確保に関する明確な指示が必要だと述べた。

BBCの報道番組「アンドリュー・マー・ショー」に出演したベン・ウォレス国防相は、今から海外旅行を予約するのは「時期尚早」であり「リスクがある可能性がある」と述べ、海外旅行禁止期間を延長する可能性を排除しなかった。

イギリスでは20日、84万4285回のワクチン接種が行われた。これは1日のワクチン実施件数としては過去最多。

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ラムジー博士は、混雑している場所でのマスク着用や、社会的距離の確保といった制限は多くの人に受け入れられており、こうした状況でも経済は機能していると指摘。

「国民は今やこうした軽い制限に慣れ、耐えられるようになっている。そして、それほど厳しくない制限が敷かれていても経済は動いている」と述べた。

「今後数年間で、少なくとも世界のほかの地域で私たちと同じようにワクチン接種が行われ、あらゆる場所で感染者数が減少するようになって、徐々に正常な状態に戻っていくことになるだろう」

また、ウイルスは必然的に弱い立場にいる人たちを攻撃するため、制限措置を「あまりに早期に緩和しないことが非常に重要」だと警告した。

「これらの制限を解除する前に、非常に慎重に検討しなければならない」

英政府の医療責任者、イングランド首席医務官クリス・ウィッティー教授は、今月初めに下院議員に対し、「手洗いや必要に応じたマスク着用、検査・追跡、そして何よりもワクチンといった簡単な行い」によって、今夏以降も新型ウイルスを抑制できることを期待していると述べた。

また、政府の首席科学顧問、サー・パトリック・ヴァランスも、今冬に感染者が増加した場合、特定の状況下でのマスク着用が必要になる可能性があるとしつつ、市民が自然と社会的距離を取ることもあるだろうと述べた。

先月、政府の科学顧問グループは「感染を減少させる政策の基準値を維持する」ことが今後しばらくは必要になると指摘。検査・追跡や自己隔離、「リスクを軽減するための自発的行動」を促す公共メッセージなどが考えられるとした。

段階的にロックダウン緩和

政府が掲げる、イングランドのロックダウン緩和のためのロードマップでは、社会的接触に関する法的制限は全て、6月21日までに解除されることになっている。

3月29日からはいわゆる「6人ルール」を復活させ、最大6人または2世帯までの屋外集会が認められる。屋外のスポーツ施設やレジャー施設も再開される。

スコットランドでは3月26日から集団での礼拝が再開される。ウェールズでは22日から、スーパーマーケットで必需品以外の商品の販売が開始される。北アイルランドでは4月1日から、2世帯までの最大6人が私有の庭で集れるようになる。

政府は先月、今夏以降の新型ウイルス対策の見直しを開始した。

こうした中、英フランシス・クリック研究所長のサー・ポール・ナースはBBCラジオ4「ザ・ワールド・ディス・ウィークエンド」で、パンデミックの最初の数カ月間に何が起こったのか、迅速な調査を行うべきだと語った。

「政治的な対応の遅れは、ほぼ偶発的に起きたことであり、科学的・医学的な助言が政治の権力者に届いていなかったことを示している」と考えていると、ナース氏は述べた。

「パンデミック初期、つまり(昨年)1月から6月までを迅速に調査すべきだ。そうすれば、そこから教訓を得て、将来に向けてさらに備えることができる」

イングランド副主任医務官、ジョナサン・ヴァンタム教授は先週、パンデミックに関する公的調査は、新型ウイルスの制御を担う人たちにとってはありがたくないことだと示唆した。

(英語記事 Masks and social distancing 'could last years'