2021年03月23日 10:46 公開

欧米各国は22日、イスラム教徒が大半を占める中国の少数民族ウイグル族の人権を侵害しているとして、中国当局者らへの制裁を発動した。

中国は、北西部・新疆の収容施設でウイグル族を拘束している。同施設をめぐっては、拷問や強制労働、性的虐待の告発が出ている。

今回の制裁は、欧州連合(EU)とイギリス、アメリカ、カナダが、歩調を合わせる形で発動した。

これに対し中国も、欧州各国の当局者に制裁を発動し返した。

中国は虐待の疑惑を否定。収容施設は、テロ対策の「再教育」施設だと主張している。

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しかしイギリスのドミニク・ラーブ外相は、ウイグル族の処遇について、「最も基本的な人権に対する恐ろしいまでの侵害」に当たるとした。

EUが中国に制裁を科すのは、1989年の天安門事件を受けた制裁以来。同事件では、中国当局が民主化デモ参加者らに発砲した。

制裁の対象

今回の制裁は、ウイグル族のイスラム教徒に対する深刻な人権侵害が非難されている、以下の新疆の中国共産党幹部らを対象としている。

  • 陳明国氏=地元警察組織・新疆公安局の局長
  • 王明山氏=新疆の党委員会メンバー。ウイグル族拘束の「政治的な監督責任者」だとEUはみている
  • 王君正氏=国営の準軍事的経済組織・新疆生産建設兵団(XPCC)の党事務局長
  • 朱海侖氏=新疆の元党幹部。収容施設の運営を監督する「重要な政治的職責」にあったとされる
  • 新疆生産建設兵団公安局=収容施設の運営など、XPCCの治安問題に関する活動方針の実施主体

ラーブ外相は、新疆におけるウイグル族のイスラム教徒に対する虐待を、「現代最悪の人権危機の1つ」と表現した。

ラーブ氏は、「合計30カ国の仲間と共に行動することで、国際社会は基本的人権に対する深刻で組織的な侵害に目をつぶらない、協力して責任を追及すると、最大級に明確なメッセージを中国政府に発しているのは明らかだと思う」と議会で述べた。

一方、アメリカのアントニー・ブリンケン国務長官は、中国が「集団虐殺(ジェノサイド)と人道に対する犯罪」を犯しているとする声明を発表。王君正氏と陳明国氏に対し、「恣意(しい)的な拘束や厳しい身体的虐待などの深刻な人権侵害」への関与をめぐって米政府が制裁を発動したと述べた。

カナダ外務省も、「増え続ける証拠により、組織的で国が主導する中国当局の人権侵害が明らかになっている」とした。

中国のウイグル族への処遇に関しては、国際的な調査が活発化している。

中国の反応

中国は22日、EUが最初に発表した今回の制裁について、「うそと誤った情報のみに基づく」ものだと述べた。

また、ヨーロッパの10人と4組織に対し、「中国の主権と国益を大きく損ない、うそと誤った情報を悪意をもって広めた」として、制裁を発動するとした。対象者は中国への入国と、中国との商取引が禁じられる。

対象者には、ドイツの政治家で、中国への欧州議会代表団責任者ラインハルト・ビュティコファー氏や、新疆政策専門家エイドリアン・ゼンズ氏、スウェーデンの学者、オランダの国会議員らが含まれている。

ゼンズ氏はこれまで、新疆における虐待疑惑についてたびたび報告している。昨年にはウイグル族に対する強制不妊手術について報告し、国連の調査に対する国際的な要求へとつながった。中国国営メディアは同氏を「悪名高い反中国」の人物だとし、うそを広めていると非難した。

中国への非難

新疆の収容施設では、ウイグル族などの少数民族が100万人以上拘束されているとみられている。

新疆は中国最大の地方で、チベット同様、自治が認められている。しかし実際には、両地方とも中央政府の規制を受けている。

新疆で暮らすウイグル族は、トルコ語に似た独自の言葉を話す。文化的、民族的には中央アジア諸国に近いと考えている。

中国政府は、ウイグル族の女性に不妊手術を強制したり、子どもたちを家族から引き離したりしていると非難されている。

BBCは2月、拘束されたウイグル族に対して組織的なレイプや性的虐待、拷問が行われているとする証言などを報じた

ある女性は、顔を覆った中国人男性らに「毎晩」部屋から連れ出され、レイプされたと証言した。収容施設の元警備担当者は、拷問や食事を与えないなどの行為があったと、匿名を条件に述べた。

中国はBBCワールドニュース(国際ニュース放送)について、ウイグル族と新型コロナウイルスに関する報道をめぐって、国内での放送を禁止した

中国は当初、収容施設の存在を否定していた。その後、テロ対策に必要な措置だとして擁護した。人権侵害については否定している。

(英語記事 Western states sanction China for Uighur 'abuses'