2021年03月24日 12:47 公開

米コロラド州ボルダー市の食料品店で22日に起きた銃乱射事件で、コロラド州当局は死者10人の身元を公表した。店員や買い物客、現場に最初に駆けつけた警察官などで、年齢は20歳から65歳にわたっていた。

事件は22日午後2時半(日本時間23日午前5時半)ごろ発生。ボルダー市内の「キング・スーパース」マーケットに男が押し入り、発砲し始めた。警察は銃撃戦の末、負傷した容疑者を逮捕した。

容疑者には10件の殺人容疑がかけられている。警察は動機について明らかにしていない。

ジョー・バイデン米大統領は、殺された警察官をたたえると共に、連邦議会に対し、銃規制の厳格化を求めた。

また、自動小銃や大容量の弾倉の禁止、販売時の身元調査の抜け穴対策などが必要だと訴えた。

アメリカでは先週、ジョージア州アトランタ周辺のマッサージ店3カ所で発砲が相次ぎ、8人が死亡した。死者のうち6人はアジア系アメリカ人の女性だった。

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ボルダーの乱射事件で亡くなったのは、デニー・ストロングさん(20)、ニーヴン・スタニシクさん(23)、リッキー・オールズさん(25)、トラロナ・バートコウィアックさん(49)、テリ・ライカーさん(51)、エリック・タリーさん(51)、スザンヌ・ファウンテンさん(59)、ケヴィン・マハニーさん(61)、リン・マリーさん(62)、ジョディー・ウォーターズさん(65)の10人。

ボルダー市警のマリス・ヘロルド本部長は記者会見で、この事件に「うちひしがれている」と語った。

「私はこの店から3ブロック先に住んでいる。私のコミュニティーだ」

また、殉職したエリック・タリー警官は5歳から18歳まで7人の子どもの父親で、「とても優しい人物だった」と語った。

「コミュニティーを、ボルダー市警を、そして家族を大事にしている人物だった。誰かを守るために命を捧げられる人だった」

ボルダー市警は、「安らかに、エリック・タリー警官。あなたの働きは決して忘れ去られない」とツイートした

https://twitter.com/boulderpolice/status/1374200720350580741


容疑者の身元も発表

マイケル・ドアティー検事は、捜査は「初期段階にある」としながらも、事件の容疑者はアフマド・アル・アリウィ・アル・イッサ容疑者(21)だけだと説明した。

コロラド州アーヴァダ在住のアル・イッサ容疑者は、人生の大半をアメリカで暮らしてきたという。

当局は22日、捜査は「完了までに少なくとも5日かかる」との見方を示している。

目撃者によると、容疑者はライフルを持っていたという。米メディアは警察筋の話として、容疑者が持っていたのは、「AR-15」型の半自動小銃で、アメリカ各地で起きている銃乱射事件で使われていたものだと伝えた。

事件当時の空からの映像では、足を負傷し上半身裸とみられる男が手錠をかけられ、ストレッチャーで連行されていく姿が確認された。

アル・イッサ容疑者は病院で手当てを受けており、23日中には郡刑務所へ移送される予定。

「誰も助けられなかった」

事件に遭遇した買い物客や従業員は、乱射が始まった直後、物陰に隠れたり走って逃げたりするしかなかったと語っている。

事件の様子は目撃者が動画配信サイト「ユーチューブ」などで実況。通行人が現場近くにいた被害者を撮影した動画もソーシャルメディアに投稿された。

動画では、撮影した男性が「どうなっているのか分からない(中略)銃声が聞こえた。誰かが倒れている。発砲している人間がいる。離れろ」と叫ぶのが聞こえる。

この男性が走って離れる最中にも銃声が聞こえ、さらに警察が現場に到着して市場を包囲する様子も映っている。

一方で警察は、現場周辺を避けるようツイッターで呼びかけ、警察の動きが犯人に知られないよう「目撃した作戦状況をソーシャルメディアで発信しないように」と強調していた。

サラ・ムーンシャドウさんは、息子のニコラスさんといちごを買いに来ていた時に事件に遭遇した。

ロイター通信の取材でムーンシャドウさんは、「レジに並んでいる時に乱射が始まりました」と語った。

また、店舗の外に逃げた時に道路に倒れている人を助けようとしたものの、息子に「逃げなきゃならない」と引っ張られたと話した。

「誰も助けられませんでした」

同じく店内にいたライアン・ボロウスキさんはCNNに対し、「ここはアメリカでも一番安全な場所だと思っていたのに、ソーダとポテトチップスを買おうして殺されかけた」と語った。

大量殺人事件、今年すでに7件

今回の銃乱射事件は、今年アメリカで発生した7番目の大量殺人事件となった。

AP通信と米紙USAトゥデイ、ノースイースタン大学が集計しているデータベースによると、こうした事件は昨年、新型コロナウイルスの流行を受けて数が減っていた。

このデータベースでは、4人以上が殺された事件を大量殺人として集計している。

銃規制強化を訴える活動家などは、こうした銃乱射事件を改革が必要な理由に挙げている。

しかし、武器の所持は米国憲法修正第2条で保障されている。ドナルド・トランプ前大統領ら多くの保守派は、かたくなにこれを擁護する姿勢を示している。

過去何年にもわたり、多くの銃乱射事件が起きているにもかかわらず、銃規制に関する意見は真っ二つに分かれており、変化はほとんど起きていない。

(英語記事 Ten victims of Colorado mass shooting named