2021年03月25日 9:55 公開

インドはこのほど、国内で新型コロナウイルスの感染が拡大していることを受け、同国が製造する英オックスフォード大学/アストラゼネカ製ワクチンの輸出を全て一時停止した。複数のインド外務省筋がBBCに明かした。

情報筋は、インド国内の感染者数の増加にともない、今後数週間のうちにワクチンの国内需要が高まることが予想されるため、同国内で供給するワクチン確保が必要だと語った。

当局は「一時的な措置」としているが、4月末までのワクチン供給に影響が及ぶとみられる。

世界保健機関(WHO)が主導する、新型ウイルスワクチンの公平な配分を目指す国際的な枠組み「COVAX」に参加する約190カ国が、今回のワクチン輸出停止の影響を受ける可能性が高い。

インドのワクチン製造大手セラム・インスティチュート・オブ・インディア(SII)はここ数日、イギリスやブラジルなど複数の国へのアストラゼネカ製ワクチンの出荷を遅らせていた。

同国はこれまでに76カ国に6000万回分以上のワクチンを輸出しており、その大半はアストラゼネカ製だ。

インドはなぜ輸出を一時停止

今回の決定は、インドが新型ウイルスの感染急増に直面していることを受けてのもの。24日には4万7000人以上の新規感染者と275人の死亡が確認。今年に入ってから最も急激な増加となった。

インドは4月1日から45歳以上の人を対象に予防接種を開始する。当局は予防接種の需要は高まると予想している。

「(輸出停止は)一時的措置だ。国内の需要が優先されなければならない」と、インド外務省筋の1人はBBCのスーティク・ビスワス記者に語った。

複数の情報筋は、4月まではワクチン供給を制限する可能性が高いとしつつ、少なくとも1種類の追加ワクチンの緊急使用が承認される予定の5月になれば、状況は改善されるだろうと述べた。

インド外務省のウェブサイトによると、18日以降、インドからのワクチン輸出の記録はない。

「少なくとも当面の間は、ほかの事は全て後回しだ」と、インド外務省筋の1人はロイター通信に述べた。「インドの状況が安定するまでは一切輸出しない」。

今回の決定について、インド政府やSIIから公式コメントは出ていない。

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事態の背景

世界最大のワクチンメーカーであるSIIはすでに、イギリスやブラジル、サウジアラビア、モロッコ向けのアストラゼネカ製ワクチンの出荷を延期している。

BBCは先週、インドからの500万回分の出荷が4週間延期されたことを報じた。

「現在の状況とインド政府の予防接種プログラムの要件に基づき、より多くのワクチンを後から供給するつもりだ」と、SIIの広報担当者は当時話していた。


SIIは年内に、低・中所得国向けに10億回分のワクチンを製造するとしている。

また1月には、月に6000万~7000万回分のワクチンを製造できると発表した。このワクチンにはアストラゼネカ製と、インドでは使用がまだ認められていない米ノヴァヴァックス製ワクチンが含まれている。

SIIは1月にBBCに対し、3月からひと月あたり1億回分のワクチン増産を目指しているとも語っていた。しかし最近、製造量が依然6000万~7000万回分にとどまっていることが判明した。

インド政府は1月16日に予防接種計画を開始。感染の第2波の発生が懸念される中、これまでに4700万人以上が接種を受けている。

当局は7カ月以内に6億回分の接種を実施したい考えで、これを実現するにはひと月に約8500万回の接種が必要となる。

(英語記事 India temporarily halts exports of AstraZeneca jab