2021年03月30日 11:33 公開

地中海と紅海を結ぶエジプトのスエズ運河で座礁し、航路をふさいでいた大型コンテナ船の離礁が成功し、29日夕に運河の通航が約1週間ぶりに再開した。

スエズ運河で座礁した全長400メートルのエヴァーギヴン号(パナマ船籍)が浚渫船の助けを借りて離礁すると、離礁作業にあたっていたタグボートが祝福の汽笛を鳴らした。

サルベージ(引き揚げ)会社ボスカリス社のペーテル・ベルドフスキ最高経営責任者(CEO)は、エヴァーギヴン号が29日午後3時5分に離礁したことで「スエズ運河の自由な航行が再び可能になった」と述べた。

地中海と紅海を結ぶスエズ運河周辺では、数百隻の船が通航再開を待っていた。

エジプト政府関係者は、通過待ちの船の渋滞は3日程度で解消されるとしている。しかし専門家たちは、世界の海上貿易への連鎖的影響は数週間から数カ月続くとみている。

全長約193キロのスエズ運河は、世界的に貨物船の航行が多いルートのひとつ。

どうやって離礁したのか

エヴァーギヴン号は23日午前7時40分ごろ、中国からオランダのロッテルダムへ向かう途中、スエズ港のすぐ北側で座礁した。当時、強風と砂嵐が発生し視界が悪かった。

サルベージ・チームは重さ20万トンの船を離礁させるという困難な事態に直面した。

オランダのサルベージ専門会社スミット・サルベージ社が13隻のタグボート(小型だが大型船を動かすことができる)を指揮し、船の離礁を試みた。

現場には浚渫船が投入され、船の両端の下から3万立方メートル分の泥と砂を掘り出した。


先週末には、船内にある約1万8000個のコンテナを取り除いて船を軽くする必要があるのではとの見方があがった。

しかし、潮位が増したことでタグボートや浚渫船の作業が進み、29日早朝には船尾が離礁。数時間後には船首も離礁し、エヴァーギヴン号は動けるようになった。船は運河の中間にあるグレートビター湖で安全性のチェックを受ける予定。



今後の展開は

海運関係筋がロイター通信に語ったところによると、エヴァーギヴン号は29日夜に紅海にむけて南下したという。一方で、運河サービス・プロバイダーのレス・エージェンシーズはグレートビター湖からの船舶の通航を再開したと明かした。

一部の船舶はすでにこの地域を離れ、アフリカ大陸南端の喜望峰を経由する別ルートを選択している。このルートはスエズ運河経由よりも航行距離が長く、さらに2週間かかる場合がある。

貨物の目的地への到着が当初予定より大幅に遅れるのは必至だ。入港時には混雑が予想されるほか、今後の出港予定も混乱している。

その結果、欧州への輸送コストが上昇することが予想されると、BBCのテオ・レゲット・ビジネス担当編集委員は指摘する。

海運会社マースクは「世界的輸送能力と設備への連鎖的影響」は大きいとしている。

「これほど大きな影響を与えたのだから、調査が行われるのは明らかだ。それに、ここで一体何が起こったのか、しばらく議論されることになると思う」と、同社の海運・貨物部門のマーカス・ベイカー氏はロイター通信に述べた。

「今後同じことが起こらないようにするには何をすればいいのか。繰り返しになるが、私はエジプトの管轄当局に運河を安全に航行できるようにする方法を決定してもらいたい。そうすることが彼らのためなので」

エヴァーギヴン号はどうなる

エヴァーギヴン号の技術管理会社ベルンハルト・シュルテ・シップマネジメント(BSM)によると、同船は今後、グレートビター湖で全面的な点検を受けることになる。

海洋汚染や船への損傷は報告されていないという。初期調査では機械やエンジンの故障の可能性は排除されていた。

当時、インド人の乗組員25人が船内にいたが、全員無事で健康状態も良好という。BSMは「乗組員の勤勉と、徹底したプロ意識に大いに感謝している」と付け加えた。

同船には膨大な種類の商品が積まれており、保険対象の積荷総額は数億ドルに上ると見られている。

(英語記事 Suez Canal reopens after stranded ship is freed