2021年03月31日 11:40 公開

黒人男性ジョージ・フロイドさんが昨年5月に米ミネソタ州で死亡した事件で、フロイドさんの首を膝で押さえつけて死なせたとされる元警官のデレク・チョーヴィン被告(44)の裁判の審理が30日に2日目を迎え、目撃者4人が証言した。現場に居合わせた10代女性は、「何もできなかった」ことをフロイドさんに「謝り続けている」と語った。

当時17歳だったダーネラさんは事件後、「自分の父親やきょうだい、いとこ、おじのことを考えている。みんな黒人なので」と述べた。

ダーネラさんはフロイドさんが拘束された様子を動画で撮影。この動画は人種的不平等や警察暴力の問題を浮き彫りにし、世界的な抗議運動を巻き起こした。

実質審理1日目の29日、検察側はチョーヴィン被告が約9分間にわたりフロイドさんの首を押さえつけたことが死亡の主な原因となったと指摘した。

ジェリー・ブラックウェル検察官は、チョーヴィン被告が「ジョージ・フロイドさんの身体に与える影響を考慮せずに(中略)非常に危険な行為をしていたことが」映像からわかると述べた。

一方、チョーヴィン被告の弁護を務めるエリック・ネルソン弁護士は、「9分29秒の映像よりも証拠の方がはるかに重要だ」と冒頭で指摘。

証拠によってフロイド氏の死因が「高血圧と心疾患、メタンフェタミンとフェンタニルの服用、そして体内のアドレナリンによる不整脈」だと示されるはずだと、弁護士は述べた。

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チョーヴィン被告はこの事件で、第2級殺人と第2級・第3級故殺の罪に問われている。全ての罪状で有罪となった場合の最高刑は禁錮65年。チョーヴィン被告は無罪を主張している。

フロイドさんの死に関わったとされる残る3人の元警官、トウ・サオ被告、J・アレクサンダー・クング被告、トーマス・レイン被告は、それぞれ殺人と故殺のほう助・教唆の罪に問われており、今年後半に個別に審理が行われる予定。

2日目の審理で何が

事件当時18歳未満だった4人の目撃者がモニター越しに証言した。証言中はカメラはオフにされ、陪審員は4人の姿やラストネームは確認できなかった。

ダーネラさんは9歳のいとこと一緒に食料品店カップ・フーズに徒歩で向かっている際に、路上でフロイドさんが拘束されている場面に遭遇した。

「男性がおびえ、命乞いをしているのが見えたので」携帯電話で動画を撮影し始めたと述べた。「そんなの間違っていると思った。彼は苦しんでいた」。

フロイドさんが「息ができない」と言っているのが聞こえた、おびえながら母親を呼んでいたと、当時の様子を語った。

ダーネラさんはフロイドさんの死を目の当たりにし、人生が変わったという。

「ジョージ・フロイドのことを考えると、自分の父親やきょうだい、いとこ、おじのことを考える。みんな黒人なので」と、ダーネラさんは泣きながら述べた。「家族の誰かが被害に遭っていたかもしれない」。

「自分が何もできなかったことをジョージ・フロイドに謝り続けている」

ダーネラさんの幼いいとこも証言し、自分が見た光景に「悲しさと怒り」を感じたと語った。「彼が苦しんでいるように聞こえた」。

友人同士のアリッサさん(18)とカレンさん(17)は、車で店に向かっていた時に事件に遭遇した。フロイドさんが息を引き取る瞬間を目撃し、無力感を覚えたという。「彼はただ横たわり、もはや闘うことも抵抗することもなかった」。

事件当時は非番だった消防士のジュヌヴィエーヴ・ハンセンさんは、フロイドさんの命を救う医療行為を警官に阻まれたと証言した。

警察による拘束中の死亡事件としても注目

チョーヴィン被告がフロイドさんの首を押さえつけている映像は世界中に広がった。

フロイドさんが拘束中に死亡したことは、多くの人にとって(特に有色人種に対する)警察の暴力の象徴となり、世界各地で人種差別の抗議デモが行われた。

しかし、世界的な非難とは裏腹に、刑事裁判としての結論は決して分かりきった自明のものではない。アメリカでは、警官が勤務中に人を死亡させても、ほとんど訴追されず、有罪になることはまれだ。

アメリカの司法制度が警察による容疑者拘束中の死亡事件をどう扱うのか、この裁判の判決に大きな注目が集まっている。

(英語記事 Teenager apologises to Floyd 'for not doing more'