2021年03月31日 14:06 公開

世界保健機関(WHO)は30日、新型コロナウイルスの起源を調べるために中国に派遣した調査団の報告書を公表した。WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は、新型ウイルスが武漢市の研究所から流出した可能性は極めて低いものの、この説を決定的に排除するにはより広範な調査が必要との認識を示した。

新型ウイルスは2019年末に中国・武漢市で初めて見つかった。

中国政府は研究所からの新型ウイルス流出疑惑を否定している。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、新型ウイルスが初めて確認されて以来、世界で280万人以上が死亡し、1億2800万人以上が感染している(日本時間31日午前時点)。

WHOの専門家チームは1月、新型ウイルス感染症COVID-19の発生源を調べるため武漢に入った。調査は中国当局から提供されたサンプルや証拠をもとに行われた。

テドロス事務局長は、専門家チームが生データにアクセスするのに苦労したとし、今後の「より適時かつ包括的なデータ共有」の実現を求めた。

同チームは新型ウイルスが武漢ウイルス研究所から流出した説も含め、あらゆる可能性を調査した。同研究所はコウモリのコロナウイルスの収集・保管・研究で世界的権威となっている。

アメリカのドナルド・トランプ前大統領も、新型ウイルス流出説を支持していた。

しかしWHOと中国の専門家は30日に発表した報告書で、研究所から新型ウイルスが流出した可能性は極めて低く、コウモリから動物を介しヒトに感染した可能性があると結論付けたと、AFP通信は伝えた。

一方で、テドロス氏はこの説をめぐっては「専門家を交えた追加ミッションを行うなど、さらなる調査が必要」だと述べた。

「WHOに懸念がある限り、全ての仮説がテーブルの上に残っている。このことを明確にお伝えしたい」

WHOの調査チームを率いたピーター・ベン・エンバレク博士も30日、武漢の研究所が今回のアウトブレイクと関係があることを示す証拠は見つかっていないと述べた。

エンバレク博士は、同チームは中国国外からも含め、政治的圧力を感じていたが、最終報告書から何かを削除するよう迫られたことはなかったと付け加えた。

また、2019年10月あるいは11月頃に武漢地域で新型ウイルスが広がっていた可能性は「大いにあり得る」とした。中国は同国内で最初の感染が報告されてから1カ月後の1月3日にWHOに新型ウイルスについて報告した。

日米など14カ国が懸念

アメリカや日本、韓国など14カ国は今回の報告書に懸念を表明。中国に対し、専門家にデータへの「完全なアクセス」を提供するよう求めた。14カ国は声明で、武漢での調査が予定より「大幅に遅れ、完全な元データやサンプルへのアクセスが欠如していた」と主張した。

また、WHOと協力していくことを約束した。

武漢市で最初の集団感染が確認されたにも関わらず、中国はこれまで、同市が必ずしも新型ウイルスの発生源とはいえないと主張してきた。同国国営メディアは輸入した冷凍食品でウイルスが運ばれてきた可能性があるとしている。

中国は迅速な大規模検査や厳重なロックダウン、厳しい渡航制限などを敷き、国内の感染流行をほぼ制御している。

(英語記事 China lab leak theory needs deeper probe, says WHO