ただちに為されるべき5つの自衛官処遇改善策


 特定秘密保護法は自衛隊員に一段と厳しい罰則を科しました。さらに集団的自衛権の行使となれば、一段と任務が増えるのは自衛官で、戦死者もでるのは間違いないでしょう。義務に見合った処遇は当然、自衛隊を軍隊、自衛官を軍人にすることです。自民党は憲法を改正して、国防軍へ位置付けるとしていますが、直ちに改正するのは困難でしょう。ならば、改憲を待たずしてできる以下のことを直ちに実施すべきです。

(1)統合幕僚長、陸上幕僚長、海上幕僚長、航空幕僚長、陸上自衛隊の方面総監、海上自衛隊の自衛艦隊司令官、航空自衛隊の航空総隊司令官を認証官にすべきです。
(2)今回の叙勲で、元統幕議長に瑞宝大綬章を授与したのは評価されますが、統合幕僚長に限定せず、(1)で挙げた職に対する桐花大綬章、旭日大綬章をはじめ、全自衛官に現役中に勲章を授与すべきです。現在、大半の自衛官は定年まで勤務しても生存者叙勲すら授与されません。私の防大同期生(陸上要員)の受章者は20-30%です。軍人に現役中に勲章を授与しない国、まして定年まで勤務しても勲章を与えない国は、世界中で日本だけでしょう。
(3)主要国では軍人が軍事機密を漏らした場合、軍法会議が裁きますが、我が国では、自衛官が特定秘密を漏らした場合、今までの例から、自衛隊の警務隊ではなく、警察が捜査し、検察が捜査、起訴、求刑するでしょう。が、役人たる警察官や検察官に自衛官を捜査、起訴、求刑させるべきではなく、捜査、起訴、求刑、裁判権を自衛官に与えるべきです。しかし、憲法に「特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない」とありますから、裁判は現行通りとしても、最低限、捜査、起訴、求刑の権限を自衛隊に与えるべきでしょう。
(4)自衛官に戦死者が出た場合、靖国神社に合祀し、首相以下全閣僚が参拝すべきです。自衛官は天皇陛下のご親拝を賜ることも願っていることでしょう。
(5)防大校長を自衛官にすべきです。外国では通常、士官学校長は軍人です。初代校長の槇智雄氏『防衛の務め』には、「この学校は昔の陸軍士官学校と海軍兵学校を一つにしたもので、本来ならば当然軍人が校長であるが、吉田首相は今回は軍人でなく、しかも民間から選びたいと決意された」と慶應大学教授、理事などを務めた槇氏を初代校長に選んだ当時の吉田茂首相の意向を明らかにしています。が、二代目以降においても吉田氏の考えにも反して未だ自衛官が校長に就いていません。

 集団的自衛権行使に関して、自民党の中には、中国などの脅威が目前に迫る中、如何にして国を守るかよりも、選挙公約に反して、公明党の支持団体の票ほしさに同党に擦り寄ったり、中国に媚を売ったりする見苦しい議員すらいます。

 政治家、特に与党議員は、安倍首相の防大卒業式の訓示、「安保法制懇報告書」受領直後の会見発言や日米共同声明を熟読玩味して猛省すべきです。集団的自衛権の行使を含め、安倍首相の安全保障政策に反対を唱える自民党議員は議員辞職か離党をすべきで、公明党は反対を貫くのであれば、与党を離脱すべきが筋ではないでしょうか。

かきや・いさお 昭和13(1938)年、石川県生まれ。防衛大学校卒業と同時に陸上自衛隊入隊。大阪大学大学院修士課程(精密機械学)修了。陸上自衛隊幹部学校戦略教官、陸上幕僚監部教育訓練部教範・教養班長、西部方面武器隊長、防衛大学校教授などを歴任し、平成5年に退官(陸将補)。著書に『自衛隊が軍隊になる日』『徴兵制が日本を救う』。