高齢者の自殺と犯罪が増えつつある


――高齢者の自殺や犯罪も増えていると言われますね。

藤田 はい。今自殺率が高いのは高齢者と20代の若者ですね。20代は就活自殺か、入社してもその環境に馴染めないというケースですね。60代以上は孤独死。孤立してしまっているということですね。ただ孤立していてもそれだけで自殺はしないんですよ。そこに病気をしたり、経済的な面で不安があったりとかすると自殺につながるんですね。

 犯罪率も増えていると思います。特に万引きしてしまう高齢者が増えています。万引き絡み、無銭飲食絡みが多いんです。

 貧困状態と犯罪を結び付けるのは差別につながるので注意が必要ですが、高齢者の犯罪は事実として増えていると思いますね。食えなくなった時のやむを得ない方法の一つが、窃盗なり無銭飲食をして自分の命を永らえさせることです。

「ほっとプラス」代表理事、
藤田孝典氏
 弁護士からの相談も増えてきていますが、顕著なのは高齢者がコンビニでナイフをちらつかせるケースです。そうすると強盗未遂になって罪が重くなるんですよ。窃盗とか無銭飲食の詐欺罪は処分保留で出されちゃったり、執行猶予がついたりするけれど、強盗未遂は余程のことがない限りは実刑になる。なので泣いて懇願されることもあります。三食食えない高齢者は、刑務所とか拘置所に居たいんですね。最後のセーフティネットが刑務所になっているんですよ。

 私も情状証人として出廷することがあるんですが、そこで言うことは、生活保護制度にこの人を結びつけていれば犯罪は起きませんでした、ということです。

 「生活保護制度って知っていましたか?」と本人に訊くと、「いえ、そんなの知りませんでした」「私受けられると思いませんでした」と言って、「じゃあ出てきたら生活保護を受けましょうか、そうすれば再犯をしなくてすむので」ということです。

――抜本的解決へ向けてどうすればよいのでしょうか。

藤田 高齢化社会がこのまま進むと、年金も生活保護もこれ以上国の財政から考えると増やせないので、私は「先行投資をしよう」と言っています。今の日本は住宅費が高すぎるし、光熱費も高いし、子育てをすると養育費とか教育費もかかる。それに対してヨーロッパなどは公営住宅や社会住宅がたくさんありますから、家賃分負担で暮らせるんですよ。だから先行投資をしていこうよ、ということを訴えているんです。

 例えばアパートは高齢者ってだいたい差別を受けるんですよ。孤独死してしまうし、身寄りのない人を大家さんは嫌うのです。特に低家賃の住宅は礼金・敷金も少ないですから、孤独死となったら百万近く改修費用がかかるんですよね。そうなると全然割が合わないから、もともと高齢者を受け入れたくないという入居差別があるんですね。そういった入居差別に遭いやすい人には公営住宅というのがあるんですけど、公営住宅は当然(入居競争率が)何十倍何百倍というレベルなので当然入れない。そうやって路頭に迷う高齢者が私たちのもとに年間何百人と来るんです。