高齢化の進展に何がいま必要なのか


――深刻な問題になりつつあるのに、社会の対応が追いついていないんですね。

藤田 ずっと言われているんですけれどね。10年ちょっと前から、高齢化率が高くなるから、施設も整備しないといけないということで厚生労働省も施設整備には動いています。東京都だと「サコージュ」とよばれているんですが、サービスつき高齢者住宅とか、軽費老人ホームとか、そういう低賃金で入れるような高齢者施設を規制緩和して広げていこうとやっているんですけれど、それでも需要には全然追いついていない。

 日本で最も重たいのは住居費。その次は教育費ですね。少なくともこの二つに介入できれば、今の日本人の多くは多分ある程度貯金ができて、ある程度老後の暮らしは安定していくと思うんです。現状では、住宅ローンの重さと、民間賃貸住宅の家賃ですかね。海外だと家賃補助制度を入れていったり、低所得の人は家賃を払えないから半分国が面倒を見ますよという考えになっています。そもそもフランスなどは全住宅の20%が社会住宅なので、所得に応じて1万円から3万円くらいで入居できるんですよね。それも広い綺麗な住宅ですから。

――日本では生活保護受給者が増えて困っていますよね。

藤田 そうです。でも他にセーフティネットを用意しないんだから増えるのは致し方ない。ある一定は増やさざるを得ないと思うんですよね。そうしないと社会が不安定化するし、自殺も犯罪も増える。生活保護ってそもそもが社会を守るための制度でもあるんですよ。ヨーロッパでは、社会防衛というスタンスで受け止められています。

 日本の生活保護受給は、海外と比べてGDPからすると全然少ない方です。それは日本人の生活保護に対する「恥の意識」というのが根強くあるからです。海外だと「権利でしょ」ということで申請するのが当たり前なんですけれど、日本人は本当に困ったら親族、友人、サラ金、そのあとに役所ですから。とことん困らない限りは相談しない、というのは日本の特徴なんですよね。未だに高齢者で「生活保護なんて受けるくらいだったら死んだほうがマシだ」と言う人が多いんですよ。

――林崎さんも、もう少し相談する人がいれば違ったのかもしれないし、都市部でみんなが孤立してしまった現状に対してコミュニティをつくろうという取り組みもなされているのですか。

藤田 今団地では始まっています。多摩ニュータウン時代のあのあたりなんかは年間何人も孤独死されてしまう方がいるみたいで、その団地でのコミュニティを再生しようという取り組みも行われています。これから増えていくんじゃないでしょうか。