"民主主義の理想の形"とは

―民主主義をバージョンアップする、ということですが、かつてジャーナリストの筑紫哲也さんが「論を楽しむべきだ」というようなことをおっしゃっていました。しかしSEALDsの皆さんへのネット上の書き込みを見ると、"論を楽しむ"どころか自由な気風も無くなっていると感じていまして、民主主義が成熟するどころか、悲観的に見てしまいます。みなさんの中で、バージョンアップした先の民主主義の理想の形がイメージできているのであれば、どういうものかお伺いしたいと思います。

千葉氏:例えば「民主主義とは未完のプロジェクトである」という言葉がありますように、"これが民主主義である"という完成形を提示できた社会はないと僕は考えています。そしてまた、SEALDs内でも、どういうのが完璧な民主主義なのか、という完全な合意があるわけではありません。

 僕たちは"緊急行動"として、立憲主義を守るために、自由と民主主義を守るために活動しているので、それをご理解いただいた上で、僕個人の見解としてお話しますと、それはアメリカやイギリスのように、政権交代が形の上だけでなく、ちゃんと機能するような政党政治のあり方であり、たとえば政治がより市民の側にあり、路上では頻繁にデモが起こっている、投票だけではない政治参加の方法がより身近にある社会が、ひとつ理想的な、より民主主義的な社会なのではないかと僕は考えています。

諏訪原氏:これもあくまでも個人的な意見なんですけれど、やはり民主主義って単純に制度だけの問題ではないというのが大事なんじゃないかと思っています。どんなに制度がしっかりしていても、使う人が適切に使わないと機能しません。

 根底的な価値として、一緒に一つの社会で生きていく時には利害がぶつかりあうので、それを調整するために民主主義必要なんだという前提、一緒に生きるという価値観がそもそもないと上手く回っていかないと思うんですね。そういう意味で、個人の尊厳を大切にしていく社会が非常に重要なんじゃないかなと思います。

 そして、民主主義で何か理想かと言うときに、止まらないということ、歩み続けることが必要だと思います。それはやっぱり「未完のプロジェクト」という話がありましたけれども、これで十分だと思った瞬間に、システムの劣化がどんどん始まると思うので、民主的な社会を目指すんだ、ということが必要なのではないかと思います。

本間氏:自分もちょっと言いたいことがあるので答えさせて頂きます。

 まず制度の話で、単純な話ですけど、民意をより反映する選挙システムや政治システムを考えなければならないのは大前提としてあると思います。例えばそれは一票の格差や小選挙区制を巡る議論、法的拘束力が無かったとしても諮問的国民投票があってもいいじゃないか、ということだったり、議論の前提としての情報公開制度に関してです。

 そして制度ではないところも民主主義にはあって、それは制度を整備していく主体に関わることだと思います。その問いが非常に重要だと思っていて、なぜかと言えば、この夏、自分たち自身が「民主主義ってなんだ?」と言っていて、そういう本も出して、今のところ8万部も売れております(笑)。これに対して、僕たちは「民主主義ってこれだ!」と答えてきました。これはオキュパイ・ウォールストリートでの「Tell me what democracy looks like」「This is what democracy looks like」を日本語にしたものです。

 やっぱり、この「民主主義ってなんだ?」という問いを引き受けていく人が、僕は主体性、当事者性を持っているんじゃないかと思っています。単純に野党の政治家や政治的な活動している人に「お前どうするんだ?」と問いを投げかけるのではなく、じゃああなたはどうするんだという、その問いを引き受けていくことが、民主主義を担保するということなのではないかと思います。

 すごく抽象的な答え方になってしまたんですけれども、そういう問いを引き受ける人たちが増えていき、社会に一定数いて、それが当たり前だよねという雰囲気を作っていくことが重要だと思います。

―今、日本で大きなテーマになっているのは"女性の社会進出"ですが、今日ほとんどの質問に答えたのは男性3人でした。きょうのメンバーも男性3人女性1人ですが、女性はあまり発言しないということなのでしょうか。

芝田氏:私がこの夏感じたことは、日本社会における女性のステータスというか、女性が発言すると、内容に関わらず批判がくるという状況がまだあると思いました。今日のメンバーは男性3人女性1人ですが、SEALDsのメンバーは男女半々くらいだし、女性が政治的発言をしていないということではないと思っていて、「ママの会」も女性が立ち上がっているわけですし、私は希望を持っています。ただ、状況は厳しいとは思います。


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