北朝鮮がミサイル発射を予告

 北朝鮮のミサイル発射も朴政権にとっては頭痛の種だ。

 北朝鮮が、10月10日の労働党創建70周年記念日に向けて長距離弾道ミサイル「テポドン」を発射しそうだ。北朝鮮の国家宇宙開発局長が9月15日、「世界は今後、労働党中央が決める時期と場所から、先軍朝鮮の衛星が大地を高く飛び立つのをはっきりと見るようになるだろう」と発射を予告したからだ。

 失敗したものの2012年4月13日のミサイルも金日成主席生誕100周年(4月15日)に合わせて発射されているので、本誌が発売のころには発射されているかもしれない。

 国際社会は、衛星であっても、弾道ミサイルの技術を使用していることから安保理の決議に反するとして容認しない立場だが、しかし、北朝鮮はこれまで1度も国連安保理決議を受け入れたためしがない。

 土壇場でオバマ政権が打開案を出すか、あるいは中国の習主席が中国の主席として10年ぶりに訪朝し、党創建式典に花を添え、金正恩政権への支持を表明すれば、話は別だが、現状ではどれも絵に描いた餅である。まして韓国とのチキンレースで腰砕けとなり最高司令官としての面子を失い、権威を失墜した金第1書記としては失地回復の手段として、また抗日70周年式典で朴大統領がど真ん中なのに側近の崔竜海書記が隅の席に追いやられ晒し者にされるなど、冷遇された中国への当てつけとしてもミサイルのボタンを押すだろう。

 北朝鮮がミサイルを発射すれば、国連安保理が招集され、制裁の強化が検討されることになる。そうなれば、朴大統領の成果であった10月20日から予定されている南北離散家族の再会事業も吹っ飛んでしまうだろう。仮に、北朝鮮が過去の事例に従い、国連の制裁決議に反発して四度目の核実験を示唆するようなことになれば、11月ごろまでに予定されている日中韓および日韓首脳会談は歴史認識どころの話ではなくなってくる。

 北朝鮮がミサイル発射を示唆する前の9月10日、韓国の韓民求・国防相は、10月16日の米韓首脳会談では「現在のところTHAADの配備は議論されないものと理解している」と述べていたが、その前に北朝鮮が米本土を射程にする長距離ミサイルを発射すれば、米国からのプレッシャーが強まるのは避けられない。

 ハリー・ハリス米太平洋司令官は米上院軍事委員会の公聴会に出席(9月17日)し、「THAADを韓国に配備することが重要だと考えている」と主張していた。仮に米韓首脳会談でオバマ大統領が持ち出さなかったとしても、11月上旬に予定されている米韓国防長官会談では議題となるのは確実だろう。

 オバマ大統領の顔を立てれば、習主席が機嫌を損なうことになり、朴大統領の二股外交は大きな試練に立たされるだろう。

ぴょん じんいる 1947年東京生まれ。明治学院大学文学部英文科卒業後、新聞記者を経て、フリージャーナリストへ。82年、朝鮮半島問題専門誌『コリア・レポート』創刊。朝鮮問題の第一人者として、テレビやラジオなどで評論活動を展開。主な著書に『大統領を殺す国 韓国』(角川oneテーマ21)などがある。