いつでも会えて、つながっている


 AKBに話を戻すと、仕掛人=プロデューサーは、おニャン子クラブで成功を収めた秋元康で、多くのメンバーを揃えるという「選択の多様性」と、番組内オーディションでメンバーを決めるという「ファンの能動的関わり」という大きな枠組みにおいては「二番煎じ」にみえるが、そこには、時代性を巧みに取り込んだ新戦略が見て取れる。

 まず一つは、マスメディアにせよネットにせよバーチャルな情報が肥大化していく中で、あえて、秋葉原の常設劇場にくれば「いつでも会える」というアナログな「対面コミュニケーション」を売りにしたことで、それは、人気が定着している現在でも続けている(もっとも劇場のキャパが小さいので、チケットは入手困難になっている)。

 もう一つは、ファンの能動的関わりをさらに強化した点で、ネットでの口コミなど、制作側がコントロールしにくいメディア環境が進化したということもあり、ファンの評判や人気を重視し、その極致が、毎年恒例の「総選挙」であった。これは、次に出すAKB48の新曲を歌う選抜メンバーをファンの投票で決めるというもので、さらには、その際の歌うポジション(序列)まで決まってしまうのである。毎回、そこに予想外のドラマが生まれ、人気維持に大きく貢献している。

アイドル文化の現在進行形


 このAKB旋風によって、アイドル文化はさらなる飛躍=拡大を遂げ、多くのグループアイドルがデビューし、少女時代、KARAなど、韓国の「Kポップアイドル」も日本で支持されている。それ以外にも、「地下アイドル」「ご当地アイドル」などのインディーズ的動きも盛んで、必ずしもメジャーデビューだけが目標でないアイドル活動も活性化している。

 あるいは、虚構という意味では、実在しない「ボーカロイドアイドル」初音ミクがヒットチャートを賑わし、また、きゃりーぱみゅぱみゅといった「クールジャパン」の代名詞として海外で注目されるアイドルも生まれてきている。こうした新しいアイドルは、ある意味、ネットメディアと密接に結びついており、テレビというマスメディアが勢いを失ったことを鮮明に象徴している。

【注】本論考は、拙著「アイドル学・序説」の内容を大幅に圧縮し再構成したものである。興味を持たれた方は『現代風俗学研究16号〜音楽の風俗』(2015年末刊)をお読みください。