開放に向けて一歩リードするフランス


 三木谷社長が示した資料(https://www.kantei.go.jp/jp/singi/keizaisaisei/kadaibetu/dai6/siryou7-1.pdf)によると、フランスでは加入者管理機能を得たMVNOの参入によって、参入前は年率2.9~7.2%の低下であった携帯電話大手4社の平均客単価が、参入後は11.7~12.7%低下するようになったという。すでに日本でもMVNOである日本通信が、2011年と 2014年にNTTドコモに対して、2015年にはソフトバンクに対して、自社のHLR/HSSとの相互接続を申し入れているが進展はないようだ。三木谷社長は、アンバンドルの促進には行政の関与が重要だと述べた。

 NTTドコモでMVNOとの折衝を行う企画調整室 室長 脇本祐史氏は、昨年12月のITmediaのインタビュー(http://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1412/22/news043.html)で次のように話している。

 〈HLR/HSSを開放してほしいという話がありますが、日本において本当に必要なのかは疑問もあります。欧州だと、異なるキャリアを結んでいくという考えがありますが、それはカバーエリアや速度が大きく違うからで、キャリアをチェンジするためにMVNO側がHLR/HSSを持つという話があります〉

 〈一方で、日本の場合は大手3社のエリアカバー率はほぼ同じなので、そこを交代するためのHLR/HSSはあまり必要ではありません。中には、独自のSIMカードを発行するためとおっしゃる方もいますが、それは本当にHLR/HSSを持たないとダメなのか。やりたいことがもっと明確にならないと、HLR/HSSを出す、出さないが決められません〉

 携帯キャリアにとってみれば、フランスのように平均客単価の急速な下落を招くような事態はさけたいのは当然だ。開発負担や投資リスクを負わずに、MVNOが携帯キャリアと同等のサービス展開ができることは不公平だと主張している。MVNOの加入者を把握できなくなることによって、予期せぬトラフィック増加に対応しきれずに全体の品質劣化を招いたり、緊急時の重要通信の確保や電話番号の効率的な運用が困難になるなどの意見にも一理あるだろう。

 しかし、携帯キャリアが最も恐れていることは、MVNOに加入者管理機能を開放することによって、自社のネットワークがダムパイプ(土管)化してしまうことだ。MVNO事業を始めたグーグルなどの海外巨大プレイヤーの参入が格段と容易となることによって、携帯キャリアの収益が圧迫されることが目に見えている。