モノのインターネットのためのMVNOが必要だ


 モノのインターネットは、M2Mと呼ばれる分野が先行している。M2Mとは「Machine to Machine」の略で、モノとモノがネットワークに繋がり、人を介さずに情報交換を行い、自動的に制御を行う仕組みを指している。これはテレメタリング(このネットワークはインターネットに限定されない)と呼ばれ、物流やエネルギー、リモート監視・計測などの産業分野ですでに実用化されている概念と同じだが、特に無線通信やクラウドなどのインフラの発達によって、そのユースケースが拡大し、IoT/M2Mなどと表現されるようになった。

 今後は、そのユースケースがさらに拡大し、一般消費者が購入するスマートフォン以外の製品(モノ)もインターネットにつながり、クラウド上のサービスと連携することによって、人々に新しい価値を提供するようになるだろう。しかし、そのためのモバイル通信サービスはまだない。それは技術的な障害があるからではない。

 携帯キャリアがMVNOに提供する回線には、データ通信と音声通話の2つの系統があり、それぞれ加入者管理機能の意味合いが違う。加入者管理機能のアンバンドルを訴えるMVNOは、モノのインターネットの推進にも必要だとしているが、アンバンドルによってモノのインターネットがどうなるのかについては説明されていない。金にならないモノのインターネットの通信については、あまり本気ではなく、スマートフォン向けの格安SIM事業のことしか考えていないように思える。

 高い技術力を持った日本の製造業が、スマホエコノミーにおいては、一般消費者向けの最終製品ではなく、その部品を供給するという立場に甘んじている。モノのインターネットの時代に、人々に新しい価値を提供するモノ(製品)をつくるために、「モバイル創生プラン」で示された「もっと自由に、もっと身近で、もっと速く、もっと便利に、モバイルを利用できる環境整備」が急務ではないか。

かわて・きょうすけ コンセプトデザイン・サイエンティスト。1990年代から、大手メーカーでインターネットサービスの企画・開発・運用を手がけ、自ら立案したグローバルなサービスを複数立ち上げた経験を持つ。その1つは、サービスのデザインでグッドデザイン賞を受賞した。コンピューターサイエンス関連の翻訳本も多数ある。