罪を犯した人間には厳しく罰則を

 上記のことを踏まえたうえで、分類別の対処法を考える。まず分類1の場合は、図1に示すような教育・研修、罰則の強化、相手企業への損害賠償の強化などが挙げられる。社員の意識創りこそが基本中の基本だが、事件が生じた場合の厳しい措置を事前に植え付けておくことも必要である。

図1 分類1:不正技術流出の歯止め
図1 分類1:不正技術流出の歯止め

 分類1の事件を起こす人物に共通して言えることは、本人は特許やノウハウを保有していない、あるいは無いに等しい、すなわち技術力としては高くはないということである。東芝事件に関わった人物も例外ではなかった。

 日本の罰則を強化することも課題として残っている。米国や韓国では不正取得による海外流出には重罰を課している。東芝事件に関しては原告の東芝がサンディスクの元技術者とSKハイニックスを損害賠償請求の形で訴えたが、罰則が強化されたと映るようにすることも歯止め効果となる。

安易な技術開示、ライセンス供与はご法度

 分類2に特有な対応法としては図2に示すように、技術開示範囲の制限と徹底が必要となる。取引先や合弁相手側から技術開示を要求されると、日本人の生真面目さや性善説が手伝って、サービス精神を発揮してしまって開示した、といった例も少なからずあるだろう。

図2 ビジネス上での技術流出リスクと対応
図2 ビジネス上での技術流出リスクと対応

 今後はこの部分について戦略的に考えることが不可欠で、どこまで開示するかしないかのリスク管理に徹すべきである。そうでないと、開示をすることで相手側が同様な製品を創ることもあり得るし、あるいは合弁相手の場合、合弁が必要でなくなり合弁解消に至るケースも出てきかねない。

 実際に中国との合弁ではこのようなケースは珍しくない。海外企業が中国に事業展開する場合に、業態によっては中国のローカルメーカーとの合弁を義務付けていることは、中国側が技術内容を手にしたいという思惑が働いている。

 同様に、安易な技術ライセンス供与も危険である。供与先がライセンスを使って有利なビジネスを繰り広げ、結果として供与した側のビジネスを弱体化させることもあり得る。この場合、ライセンス料やロイヤルティなどの契約が決して供与する側に不利にならない入念な取り組みが大切である。