しかし、これでは防衛予算が世界情勢や他国の脅威などに関係なくGNPの変動にあわせて変化し、景気が悪くなれば防衛予算が減ってしまいます。これは本末転倒な話で、戦争は景気が悪化したときに起るという過去の教訓を無視しています。要するにGNP1%枠というものは、ただ単に「これくらいが、最小限だろう」という程度の、いい加減な自己満足でしかないということです。しかも、必要に応じて予算を決めるのではなく、最初に予算の上限を決めてしまえば、役人の習性として予算を使い切る事を最優先にするため、無駄遣いが増え、本来の目的から逸脱する予算の使い方がなされる可能性が高くなります。

 そもそも、自衛力を「必要最小限度」に抑えなければならないのは、なぜでしょうか? 日本人は凶暴な民族だから、必要以上の自衛権を持つと他国を侵略するからでしょうか? いいえ、日本が二度とアメリカに逆らわないようにする為です。だから、アメリカが国際法を無視してまで日本国憲法を押し付けたのです。そして、日本を仮想敵国とする国は、それに便乗して、日本にまともな防衛力を持たせないため、スパイ行為やプロパカンダなど、ありとあらゆる手段で、日本人に憲法を変えさせないような工作活動を行っているのです。日本に敵対する国が、そのような工作活動を行うことは国際社会の常識からしてみれば当然のことなのですが、残念なのは、それに同調する日本人が少なくないことです。

 だいたい自国の防衛力を制限するということは、自国及び自国民にとって何のメリットもなく、敵対する国を利するだけです。おまけに日本は世界に向けて「相手国の国土を破壊する兵器は持たない」「相手国には攻め込まない」と宣言しているのですから、日本を狙う国にとっては、こんなありがたいことはありません。彼らにとってみれば日本は常に日本の領域の中で、自分たちの戦力にあわせて対応してくるのですから、その動きは容易に予測可能で自分たちの思い通りに行動できるのです。実際に中国が尖閣諸島に海警(中国の海上保安庁のような組織)の船を派遣して示威行動を起こしても、日本は海上保安庁の巡視船でしか対応しませんから、日本から退去命令を発しても、逆に「ここは中国の領海だから出ていけ」などと言い返される始末で、やりたい放題やられています。

 これが普通の国であれば、相手をはるかに上回る性能の船、つまり軍艦や航空機で対応するでしょう。そうなれば、侵入者は尻尾を巻いて退散するしかありません。万が一、武力衝突が発生したとしても、彼らにとっては、いくら負けても自国が戦場になる心配がないため、ノーリスクで日本を攻撃できるのです。たとえ日本対して何をしたとしても、都合が悪くなれば自ら矛を収めた時点で紛争が終わるわけですからこんなに攻めやすい国はないでしょう。他にも竹島強奪や不審船、拉致事件が良い例で、普通の国であれば戦争になってもおかしくない話です。

 一般的な話に置き換えても、見るからに強よそうな人と弱そうな人では、後者の方が暴力的な犯罪の被害者になるリスクが高くなるだけではなく、実際に被害に遭った場合でも被害が大きくなることは、ごく普通に考えれば小学生でもわかることです。自国の軍事力が明らかに他国を上回っている場合は、よほどのことがない限り相手から攻められることはありませんが、逆の場合は往々にして侵略行為を誘発することは歴史が証明しています。そのような誤解を与えないためには、経済大国である日本が十分な軍事予算を費やして、経済力に見合った防衛力を備えることこそ国際紛争の防止に資することになるのです。その際には、憲法改正を含む十分な法整備が行われなければいけないことは言うまでもありません。 

 これは先の大戦が終わってからの中華人民共和国による侵略の歴史です。

 中国は核兵器を含む強大な軍事力を持っていたソ連や大国のインドとは大規模な軍事衝突を起こしましたが、全面戦争に至る前に矛を収めています。ベトナムに対しては、海戦はともかく陸戦においては、一旦は攻め入ったものの強烈な反撃を受け撤退しています(一部占領された地域もある)。一方、まともな軍隊を持たなかったウイグルやチベットは、どうなったでしょうか。植民地にされた挙句、今や中共のホロコースト政策により、民族滅亡の危機に陥っています。また、米軍撤退直後に岩礁を奪われたフィリピンやベトナムを見ればアメリカの後ろ盾が抑止力として重要なことも解かります。