また、個別的な自衛権はよくて集団的自衛権はよくないという人たちが、よく口にする「アメリカの戦争に巻き込まれる」という理屈ですが、はたして英独仏豪加などのアメリカの同盟国は、いついかなる時でもアメリカの戦争に参加しているでしょうか? 自国の国益に資する場合だけ参加しているのではありませんか。日本も、これらの国のように是々非々でアメリカと付き合おうと思えば出来るのですが、いかんせん日本は他国に比べて国家の防衛を心の底からアメリカに頼りきっているためアメリカの言いなりになりがちです。

 ですから、本来はアメリカの言いなりになりたくないのであれば、まずは自国の防衛を独力で賄うことができるようにするべきなのですが、彼らは「憲法は変えるべきではない」「日本は軍隊を持つべきではない」と言い、日本が自国の防衛を自力で行えるようになることに反対しています。結局のところ彼らは「日本はいつまで経ってもアメリカの言いなりのままでいろ」と言っているのです。確かに、我が国がアメリカの戦争に巻き込まれないことは非常に重要なことですが、そのために日本が、今後もアメリカの従属国のままでいるというのでは本末転倒としか言いようがなく、むしろ日本は国益のために自国の防衛にアメリカを巻き込んでいくことこそ考えるべきでしょう。

 日本が真の意味でアメリカから自立し、独自に地域の安全保障に対して責任を持つことは両国のためだけではなく、アジアの平和にとっても必要なことなのです。フィリピンやベトナムなどの南シナ海で中国の脅威にさらされている国々は、一国で中国と対峙するには、あまりにも非力であるため、日本との連携を望んでいます。そんな彼らに対して「日本は憲法があるから他国を助けることができない」と言って見捨てておいてよいのでしょうか。単に道義的な問題だけではなく、フィリピンや台湾など、日本のエネルギー輸送航路の沿岸国が中共の軍門に下れば、日本の安全保障上大問題となります。

中国は南シナ海のミスチーフ礁で埋め立て作業を行うなど
海洋進出を強引に進めている=2月(フィリピン政府当局者提供・共同)
中国は南シナ海のミスチーフ礁で埋め立て作業を行うなど 海洋進出を強引に進めている=2月(フィリピン政府当局者提供・共同)

 ただ、闇雲に助け乞われたからといって何が何でも助けろという話ではなく、いつでも助けることができる様な状態にしておくことが大事なのです。中国は、あっという間に南シナ海の岩礁を埋め立ててしまいました。いざという時に法律を作り始めるのでは遅いのです。単純に考えて何をやるにしても選択可能な手段が多い方が良いに決まっています。個別的にしろ、集団的にしても自衛権はあくまで「権利」であり、集団的自衛権の行使を容認すれば、必ず行使しなければいけないというものではありません。

 国家が持つ国民を守る権利なのですから法令上、行使が可能な状態にしておき、あとは時の政権が都度、日本の国益を考え的確な判断を下せば良いだけなのです。核保有国は安易に核を使いませんが、憲法にそんなことを記載しません。相手に「もしかしたら核を使ってくるかも」と思わせるだけで十分なのです。

 これは通常兵器の場合でも同じことで、そのためには相手に、この国を攻撃すれば何をしてくるかわからないと思わせることが大事なのです。いちいち「この場合は攻撃する」「このケースは攻撃できない」などと自らの手の内をご丁寧に曝すのは、愚の骨頂で百害あって一利なしです。軍事力というものは相手の行動を抑止するだけにとどめ、実際に行使しないのが最良の使い方なのです。そのためには日本の国軍創設は不可欠であり、日本が他国に頼らず自力で防衛可能になることこそが、沖縄の人たちの願う米軍基地の撤退、延いては沖縄問題の解決にも繋がるのです。

 とはいえ今の段階で、迫りくる中国の脅威に対抗するには、国民の覚悟もなく法整備もままならない現状の日本一国だけでは甚だ心もとない限りで、やはり現実的な解決策としては、世界最強のアメリカ軍との同盟が必要です。