もうひとつ。紅白の最大の欠点は、歌番組なのに歌番組としての魅力が伝わってこないところ。テレビ界における芸能事務所の政治力をまるまんま反映したようなラインナップ。ヒット曲がなくてもOK、はるか昔のヒット曲でOK(むしろ新曲禁止令?)、メドレーで歌わせてもらえるのはデカい事務所所属、歌手なのに歌が下手、朝ドラ&大河関連で無理繰りねじ込まれるゲストの人々…。

第65回NHK紅白歌合戦 森進一(左)とお笑いコンビ、日本エレキテル連合
第65回NHK紅白歌合戦 森進一(左)とお笑いコンビ、日本エレキテル連合
 すでに紅白歌合戦は歌番組ではなく「歌番組を装ったバラエティ番組」なのだ。正直、視聴者も延々と観るわけではない。曲順も事前に発表されるため、リモコン片手にザッピングするのが前提だ。好きな歌手や聴きたい曲がなければ、格闘技やダウンタウンに流れる。

 となると、紅白は何のために観るのか。それは「ネタ消費」だ。生放送で起こるハプニング待ちだったり、巨額をつぎ込むバカげた衣装を鼻で嗤ったり、言葉の足りない司会女優の発言や暴言を拾ったり、久しぶりに登場した歌手の老い衰えた姿を生温かい目で見守ったり。SNSでつぶやくネタのために観る人も多い。

 週刊誌もネットも、大ネタを拾いにくい年末年始には、こぞって紅白のアラを探す。なんだかんだいっても紅白の視聴率は高いため、アラは格好のネタだからね。

 今年も多くの記者たちが紅白の舞台裏で何時間も待機し、「森進一これで最後の仏頂面」やら「松田聖子の剥げない鉄面皮」やら「ネットアイドル気取りで調子に乗る小林幸子に浴びせる冷や水」など、香ばしいアラ探しをしてくれることだろう。年始号に注目である。

 個人的に、ネタ消費として期待をしているのは、演歌歌手に対するえげつないコラボレーションである。しっとりどっしりピンで歌わせてもらえる演歌歌手は少なく、特にヒット曲のない大御所はアイドルと無理矢理組まされることが多い。舞台上が「安っぽいキャバ嬢と太客」か「やり手のクラブママと宴会担当若手営業マン」みたいな構図になるのが密かな楽しみでもある。

 もちろん、この人の歌をちゃんと聴きたいなと思う歌手もいることはいる。巷に蔓延るおしゃれ風カフェ(別名・おしゃクソカフェ)で頻繁に流れている星野源の歌。ジャニーズの中でも地方ロケ&ドサ回り担当だが、実は音楽性が高いと言われているTOKIOの歌。民放ドラマの主題歌になることが多いSuperflyの歌。今このタイミングでなぜ? と思いつつも80年代の懐かしさを噛みしめたいレベッカの声。洗脳騒動やら不仲説やら、過去にいろいろとありすぎて、さすがのNHKも触れるに触れられないであろうXJAPANの腫れモノ感…。

 ま、人それぞれの愉しみ方があるわけで。紅白にさも思い入れがあるかのように書き連ねたのだが、今年の大晦日は、格闘技をメインで観て過ごす予定である。