私は世界各地を旅しましたが、アフリカを訪れた時、マサイ族のおちびちゃんに飴玉をあげようとしたんです。そしたら「ノー」って言ってね。自分は外国人から物を貰ってはだめだと親父に言われていると。この子は俺と同じだと思いました。私も小さい時、占領軍から絶対に物を貰わなかった。投げられたり、ばら撒いてくれたのを踏みつぶしていました。施しは受けんと。あのプライドっていうのは世界中同じですよね。だから外国に行くときには十分に、子供たちにまでそのプライドがあるというのを認識していかないといけないですよね。絶対に傷つけちゃいけない。その子とは1時間半ぐらい一緒に遊んでたんですよ。そしたら食べてくれるようになったんですけどね。

「銀河鉄道999」(C)松本零士・東映アニメーション
「銀河鉄道999」(C)松本零士・東映アニメーション

 戦時中に疎開した母親の実家のある四国では星がよく見えましてね。オリオン座がすごく綺麗なんですよ。本を見ながらあれが火星、あれが金星って確認しながら夜空を見上げるわけです。父が戦争から帰ると、山の上で炭焼きをやって暮らしていました。その時に、炭焼き窯の前で夜中に座って火星を見ながら「火星に人間はおるか」って親父に聞いたら「おるかもしれんし、おらんかもしれん」って。それから余計に宇宙に興味をそそられました。

 一番影響受けたのが、京都産業大学の創設者だった荒木俊馬博士の「大宇宙の旅」という本。宇宙の概念がきちんと挿絵入りで描かれている。物語仕立てになっていて、フォトンという女神の女性と一緒に星野宙一という少年が宇宙を旅するわけです。(銀河鉄道)999の主人公の名前を星野鉄郎にしたのですが、久しぶりに「大宇宙の旅」を読んで、少年の名前が星野宙一だと気づいて。結局、なんらかの刷り込みを受けている訳ですよね。フォトンと言う女神とね、2人で宇宙を旅して宇宙の総概念を読者にわかるようにした偉大な本です。また、地球の生命体の発生から現代に至るまでを書いた「生命の科学」(HGウェルズ著)も愛読していました。「宇宙と生命」というテーマに心惹かれました。

 糸川英夫先生が亡くなる1、2カ月前にお会いして「私は本当は宇宙飛行士になって宇宙開発に携わりたかったけど、貧乏で断念しました。だから漫画家になったんです」と話したら、バーンと肩を叩かれて「だからよかったんじゃないか。それで今のあんたがいるんだ。頑張れよ」と言って背中を叩いてくれたんです。それが糸川先生とお会いした最後の会話でした。