松本零士氏
松本零士氏

 中国の探査機が月面着陸したけど、日本も行けないはずはないんですけどね。(ロケットの模型を手にして)これは「GXロケット」。民主党が政権をとったときに予算を全部消されまして。上半分は日本製、下半分はアメリカ製。だから機体に日の丸と星条旗が描いてある。設計も終わって、もう作り始めていたんですよ。じゃあ使った金はどうなるのか、もったいないですよね。しかし民主党は理解してくれなかった。ぱっと予算削られました。

 私はアメリカの打ち上げもスペースシャトルが帰還するのも全部見ました。種子島の打ち上げも何度も見に行った。国際宇宙ステーション(ISS)に滞在していた油井(亀美也)さんとは、大きな液晶パネルの前に立って話をしました。お互いの映像が出て、タイムラグなしで話せるんですよ。

 ある時、若田(光一)さんから電話があり、「いまどこですか?」って聞いたら「えー、中南米の上空あたりかなあ」って言うんです。携帯電話で普通に話せるんですよ。それもタイムラグがないのです。「じゃあ、日本の方をみてください」って言うと、「じゃあ、いま泳いでいくから」ってね、「ふわふわしてて気持ちいいよ」「時計もちゃんと動いてるよ」って言いながら移動して、「ああ東側は明るくなってる」「太陽も出てきてるけどまだニッポンが見えない」という会話ができるわけです。だんだん時代が変わってきていますね。

 本当は自分が宇宙に行きたいんですけどね、帰れなくてもいいから…。絵を描く人間としては、実物の裏側まで見たのと写真資料だけというのは全然違う。写真はあくまで平面なので、わからないわけですよ。どういうものなのか。だから、ピラミッドでもどこでも実際に行って見て、ああこういうものかと分かるからリアルに描けるわけですね。

 地球はいっぱい描いているけど、平面しか知らないわけですよ。この目で見たら書き方が少し変わると思うんですね。だから、地球をこの目でみたいというのが私の願望なんです。その次は月と火星に行きたいね。(聞き手 iRONNA編集部、川畑希望)