安倍談話で歴史認識論争は終わったはず


 民主党政権は経験不足と小沢代表時代の浅ましい権力欲から人気取りで非現実的なマニフェストを掲げて政権をとったが、思い通りにいかず一期で下野した。それならば、民主党政権時代より現実的な政策を打ち出すことに踏み切ってこそ、政権復帰の可能性もあるし、また、何かの拍子で復帰したときに前回より長持ちすることになるはずなのだ。

 ところが、実際には思いっきり左翼バネを働かして野党らしい野党になってしまった。安保法制についていえば、アメリカとの軍事協力は戦後一貫して、すこしずつだが前進してきた。安保条約締結、安保改定、PKO創設、そして、今回の後方支援である。

 これから、世界情勢が軍事協力の必要性を減らすような方向に行ったらいいのだが、そうでないなら、少しずつ協力を前進させざるを得ない。そのときに、憲法違反で解釈はこれからも変えられないのでこれ以上はびた一文無理と言ってしまっては、憲法を改正しない限り対米関係がもつわけない。

 辺野古の問題は、自民党政権の時代に、いちおう沖縄も了解したものを、あたかも妙案があるかのように「最低でも県外」といい、それがめどが立たないといって辺野古にもどったのは民主党政権なのだから、尻ぬぐいを安倍政権にしてもらっている立場らしい謙虚さが当然だ。

 なにもアメリカの顔色ばかりうかがうのがいいのでないが、日本はアメリカの共和党と民主党と両方がいちおう納得するような外交をすれば、だいたい安泰なのである。アジア各国もヨーロッパもそれなら納得せざるを得ない。

 ところが、これまで、戦前から日本は共和党政権とはうまくやれたが、民主党政権とはぎくしゃくし続けて、ルーズベルト大統領との悪い関係が太平洋戦争につながった。そういう意味では、安倍首相も当初は民主党のオバマ首相との関係がもうひとつしっくりしなかったが、周到な努力を重ねて、アメリカ議会での演説と「70年談話」でリベラル派の信頼も勝ち得た。

 「70年談話」の示した歴史認識は、ひとことでいえば、あの戦争で「日本は道を誤った」。しかし、「日本が何もかも悪かったのではない」「近代日本の世界への功績も認めるべきだ」ということだったと思う。とくに、アメリカのリベラル勢力にも十分に説得的なものであったことが重要でまさに安倍外交の完全勝利だった。

 そして、歴史認識問題はこれで決着がついたのだと思う。保守派の安倍首相が「日本は何も悪くない」という立場を否定したのだから、そういう考え方は個人的な意見としてはともかく、現実的な外交の場で日本政府はもはや取れない。

 一方、「日本がすべて悪かった」といわなくても、アメリカのリベラルも納得したのだから、日本の左派が全面謝罪しないと世界で通用しないと言い張ってももはや説得力はないからだ。

 それに対して民主党(日本)のいまの傍観者的な立場では、アメリカの民主党政権すら説得できないし、まして、共和党政権になったらどうして付き合っていくつもりだろうか。 中国や韓国とも、安倍政権の足を引っ張ることでお褒めを頂いているだけで、過去と違って世界的覇権を狙って膨張する中国にどう対処するかなんのビジョンも持っていない。

 それに、中韓との関係が悪化したのは、民主党政権時代の稚拙な外交で意味なく摩擦を激化させたからで、安倍政権になってむしろ改善しつつある。