日本は集団的自衛権解釈の見直しと再入国不許可制裁の拡大を

 安倍政権は集団的自衛権に関する憲法解釈の見直し作業を始めた。しかし、北朝鮮の核ミサイル開発が深刻化している以上、集団的自衛権の問題は類型化された概念論ではもはや間に合わない。作戦計画5027が発動された場合、日本は何をするのかという日米同盟の根幹をなす戦略問題の観点から具体的に論議すべき緊急課題となる。私は従来、「・同盟国アメリカの領土が武力攻撃された際と、・いわゆる周辺事態『我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態』のために出動した米軍が敵国から武力攻撃を受けた際に、自衛権を発動できる」という政府見解を出すことを提言している。

 米韓両国は、北朝鮮政権が政変、内戦、暴動、天変地異などで崩壊した場合に軍隊を北進させる作戦計画5029をも持っている。米韓軍を北進させるという点は5027と同じだが、両者ともに混乱の中で拉致被害者が危険な目にあわないようにどの様に救出するかがわが国の重大課題となる。米韓軍の作戦計画に被害者救出のミッションをどのように組み込ませるか、これも集団的自衛権を発動して日本ができうる限りの貢献を両作戦計画に対してなしてはじめて実現できる戦略的課題だ。
北朝鮮が水爆実験を行った6日、広島市の平和記念公園で平和を祈り合唱する人たち
北朝鮮が水爆実験を行った6日、広島市の平和記念公園で平和を祈り合唱する人たち
 特に2015年には米韓同盟の根幹である米韓連合司令部が解体される予定となっている。米韓連合司令部がなくなって5027や5029作戦計画を問題なく遂行できるのか、できないならば解体を延期すべきではないのか、日本の果たす役割を含めて今から3国の高いレベルで真剣に検討すべき重大課題だ。

 最後に、北朝鮮の核ミサイル開発をどの様に止めるのかについて論じよう。日米韓3国の抑止力強化が守りの戦略というなら、こちらは攻めの戦略だ。ブッシュ悪の枢軸演説はこの点について「われわれは、同盟国と結束し、テロリストとテロリスト支援国家には、大量破壊兵器の製造と運搬を可能にする材料、技術、専門知識はけっして渡さないようにする」と明確に処方箋を書いていた。わが国がなすべき制裁はまだ多く残っている。私は、在日本朝鮮人科学技術協会(科協)に所属する核やミサイル技術者が自由に訪朝して北朝鮮の核ミサイル開発を支援している状況を告発し、最低でも彼らまで再入国不許可を拡大すべきだと繰り返し主張してきた。

 ミサイルエンジン専門家である金剛原動機合弁会社副社長の徐判道は昨年3回訪朝している。関係者によると彼が訪朝するたびにミサイル実験が行われるため、ミサイル基地での点検作業に立ち会っている疑いがあるという。2006年と09年のミサイル実験の前にも徐の訪朝が確認されている。

 北朝鮮は在朝日本人に出国の自由を与えていない。わが国は、総連幹部であっても出国の自由を制限したことはない。ただ、誰に再入国許可を出すかは、主権国家の固有権限だ。北朝鮮の核ミサイル開発を非難しながら、そのための資金と技術が持ち出されていることを放置してきたわが国の在り方を反省すべきだ。