私だって戦争反対です


 平和安全法制のさいも「反対」する方々が国会周辺で騒いでいましたが、これも不思議な光景でした。これから平和安全法制について違憲訴訟が起こされるかもしれません。最高裁がいずれ判断するでしょうが、違憲となる理由が思い浮かびません。

国会前で行われた安保法案反対デモ=2015年8月30日、東京都千代田区の国会前(早坂洋祐撮影)
 反対派は「9条を守れ」というのですが、憲法違反を主張したければ、自衛隊の存在自体を否定しなければ筋が通りません。現実に、過半数の憲法学者が、自衛隊は違憲だと主張しているのですが、この不都合な真実はなかなか報道されません。

 「米国に巻き込まれて戦争になる」などと米国追従を批判する人は、米国に押しつけられた日本国憲法こそが「諸悪の根源」だと主張すべきです。また、米軍の片務的防衛義務に米国世論が疑問を持てば、将来、日米安保条約が破棄される可能性もあります。その場合、日本国を如何に守っていくのか反対派は具体策を示すべきですが、一度も聞いたことがありません。無責任だからです。

 「政府がきちんと説明しなかった」、「平和安全法制は説明不足だ」という声もありました。しかし自分で勉強すればいいだけです。雛鳥がピヨピヨと鳴けば親鳥からエサを与えられるように、情報は為政者が与えるべきものだと信じている人は、受動的な思考を反省すべきです。

 七十年近くも見て見ぬ振りで先送りしてきた問題ですから、いきなり、全部を理解しろとは言いません。しかし、「戦争法案だ」などという認識は不勉強も甚だしい。デマを喧伝する人間か、または、自分は不勉強だと公言しているようなものです。

 私はフェイスブックに「戦争反対に賛成なので、安保法案に賛成です」と書きました。今の時代、時代錯誤な帝国主義国家の指導者を除けば、誰でも戦争反対です。

 そもそも、いくら「泥棒反対」と声高に叫んでみても、カギの無い家には泥棒が簡単に入ります。同様に、「戦争反対」と叫んでみても、戦争に巻き込まれるリスクは全く減りません。だから戦争を仕掛けられないように、自衛隊や在日米軍、平和安全法制を通じて、仮想敵を牽制する抑止力が重要なのです。

 今回、国会周辺で戦争法案反対と叫んだり、「戦争になる!」と騒ぐ人たち、それを正しいかのように持ち上げていたメディアを見るたびに、うんざりでした。

 個別的自衛権だけで国を守る気ならば、スイスを見習うことになります。「永世中立」を守るため、スイスはどこの国にも頼れないので、凄まじく武装しています。当然、徴兵制があります。スイスの徹底した国民皆兵にはナチスも手を出せなかった。手を出すと大変だとわかっていたからです。武装によって隙をなくすこと。ちゃんとした軍隊を持って隙がなければ、相手は攻めて来ないのです。平和を守る、戦争に反対するとは隙のない備えを築くことです。

だったら憲法改正しましょうよ


 私は今から二十五年前、PHP研究所から「ボクが見た日本国憲法」という本を出版し、そのなかで9条について「9条はそのままでも構わない」と書きました。しかし今は、全然そうは思いません。PRC(中国)の軍拡と帝国主義的野望、北朝鮮の核開発、米国の変容、沖縄の現状など、世の中は戦後七十年で大きく変わっています。

 日本国憲法の草案は、神さまではなく、コンピューターもインターネットも無い時代の米国人が、日本から米国を守る目的で書きました。今は無法者のPRCと北朝鮮が最大の恩恵を受けています。国際情勢にあわせて憲法を変えるのは当然です。平和安全法制を成立させたから、民意が頑なになり、憲法改正は難しいという人がいますが、私は逆だと思います。日本の国民はいろんな問題や矛盾に気づき始めました。

 今回、国会前で騒いだ人たちから「憲法を改正した上で法案を通すならわかるけれど、憲法解釈を変えるやり方は納得できない」という声が聞かれました。法案反対に利用できるなら何でもありなのかも知れませんが、だったら、これから憲法改正しましょうよ、といいたいです。

 本来、今すぐにでも改正すべき憲法ですが、憲法改正には一定の時間がかかる。だから緊急性の高い平和安全法制の成立が先になっただけの話です。反対派は憲法改正後だったら、賛成派に回るのでしょうか。

 米国が守ってくれる。そんな依存症が日本国内に蔓延しています。しかし、日本人はそうした病を早く払拭すべきだと思います。自分の国は自分で守るという当たり前のことが、憲法改正を通じて現実になることを願っています。

ケント・ギルバート氏 米カリフォルニア州弁護士、タレント。1952年、米アイダホ州生まれ。71年に初来日。80年、国際法律事務所に就職して東京に赴任。83年、TBS系列「世界まるごとHOWマッチ」に出演し、一躍人気タレントへ。最新刊は「不死鳥の国・ニッポン」(日新報道)。公式ブログ「ケント・ギルバートの知ってるつもり?」では辛口の意見を発信中。