納得いかなかったので、いろいろと技術的なことを含めて聞いた。メーカーのいいたいことは、そうした個人の事情を考慮すると(端的にいえば、「異物」が入ると)、電力の「品質」が下がるのでやめてくれ、そうした要望を受けるには「送電線」がネックになってしまうということらしい(興味のある方は「系統連系」とかをネットで調べればいい)。それでも、「ウチで発電してウチで使うには問題無いはず」と食い下がると、やっと停電時に一つのコンセントだけ使えるとなった。それ以上は話し合う時間の無駄使いなので、それで妥協した。

 ほかの人からも似たような話を聞いた。その方は、農業をやっていて小規模の水車がたくさんあるので、そこで小さな水力発電をして、地域に電力を配れないかという話だ。

 いい話だと思っていたら、最終的にはできるらしいのだが、いろいろと細かな規制が多く、人のやる気をそいでしまう。結局、停電時には使えないようになってしまったようだ。

 「発電」は比較的簡単である。問題は、それを「送電」するところだ。電力自由化でも、「送配電」は地域独占になっていて、そこが電力自由化でメリットが出るか出ないかの大きなポイントであると筆者は考えている。

 要するに、発電事業や小売電気事業に新規参入の事業者があっても、送配電事業者との連携がうまくいかないと、自由化のメリットはうまく発揮できない。

 はっきりいえば、送配電を握っているところが意地悪をすれば、発電会社も小売電気会社も困ってしまって、自由化の果実はなくなる。

 とりわけ、送配電事業者が、自社の送配電網を使い、発電所から各消費者に電気を送ることを託送供給というが、このシステムがうまく機能しないと不味い。

 具体的には、新規参入する小売電気事業者と送配電事業者を結ぶ基幹システムが顧客情報や料金計算などを瞬時にやりとりする必要がある。

 この点において、実はあまり知られていないが、このシステムで開発が遅れている。これでは、消費者が電気の購入先を切り替える際に不可欠な基幹システムがうまくワークせず、十分な競争が行われない可能性がある。ひょっとすると4月の電力小売り自由化にシステム開発が間に合わない可能性すらある。となると、はっきり言えば、これは競争以前の問題である。

 筆者はかつて郵政民営化を手がけて、そのシステム開発のプロジェクトマネージャーをやった経験がある。筆者の場合、郵政民営化の制度設計や法案作成も兼務していたので、その進捗状況をコントロールできたので、システム開発を最適な期間で行うことができた。システム開発が間に合わないときには、郵政民営化のスケジュール自体も変更した。

 ところが、今回の電力自由化では、システム開発のプロジェクトマネージャーも誰だかわからず、電力自由化のスケジュールがまず頭ごなしに与えられて、それに異議を挟むことも許されずにシステム開発しているようにみえる。システム開発は超専門的な分野なので、こうした構図は残念ながら随所でよく見られるものだ。

 東電にとって、新規参入業者を利するだけの託送供給の基幹システムをうまく作るインセンティブはない。システムの立場からみれば、いままで自社内のクローズド・システムだったのを、他社も使うオープン・システムに変えるようなものだろう。むしろ表だっていわないが、そこそこ文句を言われない程度のシステムを作り、それが多少障害になっても構わない、くらいにしか思わないだろう。

 電力自由化で、「送配電」について新規参入者にとってシステムをいかに使い勝手のいいものにするか、規制当局のイニシアティブが必要になるとは皮肉なモノだが、それが競争環境整備の第一歩である。