数量と価格で買い取り量削減を目指す欧州


 太陽光発電事業を開始する企業の多さに手を焼いた欧州では、参入を減らすために政策の見直しが行われた。イタリアは事業用太陽光発電設備からの買い取り数量に上限値を設けた。ドイツは買い取り価格を削減し、毎月減額する制度を採り入れた。今年の7月1日現在の買い取り価格は表の通りだ。買い取り価格は家庭用で日本の約半分、事業者用では日本の3分の1だ。これでも太陽光発電設備の設置は続いている。

 ドイツの家庭用の電気料金は1kWh当たり28.50ユーロセント、産業用は15.10ユーロセントだ。固定価格買い取り制度に基づき電気を売却するよりも自分で使用するほうが有利だ。ただ、お日さま任せの太陽光発電では電気が必要な時にいつも発電できるとは限らない。蓄電装置がないと無理だ。ドイツ政府は今年5月から太陽光発電設備を設置する家庭で蓄電池を導入する場合には補助金を出す制度を導入した。不安定な電源からの電気が増えると送電線網に負担も掛かる。送電線の整備費用も必要だ。それを避けるためにはできるだけ自分で使って欲しいということだ。

ワタミの電気は必ず買わされる


 二酸化炭素削減のために再生可能エネルギーによる発電事業に参入したというのであれば、消費者に負担がかからない今年度の料金適用の案件に仕立てればよい。儲けるために事業に乗り出したのであれば、素直にそういうほうがきれいだ。あまり理屈の通らないようなことは言わないほうがよい。

 固定価格買い取り制度の問題は、消費者は事業者を選択できないことだ。ワタミが嫌いでワタミの居酒屋に行かない人も、北海道に住んでいれば否応なくワタミの太陽光発電からの電気を受け取らざるを得ない。当然その買い取り価格も負担させられる。いま、電力自由化が政治の場で議論されている。大口需要家向けには自由化されている電力小売りを家庭向けまで全て自由化し、消費者が電力会社を選択できるようにしようという改革だ。

 例えば、再生可能エネルギーが好きな消費者は、太陽光、風力などだけで発電を行う電力会社から電気を購入できるようになる。しかし、固定価格買い取り制度は自由化とは相いれない制度だ。自由化されても、消費者は固定価格買い取り制度に基づき20年間は電気を買わざるを得ない。自由化されてもワタミを断る選択肢はないのだ。

 企業が高い収益をあげる事業に取り組むことは当たり前だ。しかし、「君子財を愛す。これを取るに道あり」との言葉がある。自民党国会議員のワタミ創業者には民主党時代に作られた事業者に有利な制度を利用することの是非を考えて欲しかった。ワタミにはシナジーがないエネルギー分野ではなく、本業の分野で消費者に役立つこと、環境を改善する活動を進めて欲しい。それは、数多くあるはずだ。