江沢民の長男の別称は「中国一の汚職王」


 博裕の創業者・江志成が20代でひのき舞台に躍り出た背景として、その父であり、江沢民の長男である江綿恒の国内外での「働き」は無視できない。1991年に米ドレクセル大学で博士学位(超電導を専攻)を取得し、ヒューレット・パッカードで勤務していた時代に米国の永住権(グリーンカード)を手にしたとされる江綿恒は、帰国後、親の七光りで冶金研究所の所長、中国科学院の副院長などを務めた他、通信関係を牛耳り「電子大王」の異名を持つ存在になった。

 胡錦濤国家主席の時代も、江沢民は院政を敷きながら息子の政治局常務委員入りを画策してきたが、共産主義青年団(団派)はもとより、太子党の多くにすら忌み嫌われ果たせなかった経緯がある。なぜなら江綿恒の別称は「中国第一貪(中国一の汚職王)」。銀行融資は、「パパの鶴の一声」で無尽蔵に与えられていたためだ。
中国海南島にある東山(海抜184メートル)の中腹に家族と共に姿を見せた江沢民元国家主席のようすを伝えた2015年1月4日付の香港紙「明報」の記事(河崎真澄撮影)
中国海南島にある東山(海抜184メートル)の中腹に
家族と共に姿を見せた江沢民元国家主席のようすを
伝えた2015年1月4日付の香港紙「明報」の記事
(河崎真澄撮影)
 拙著『豹変した中国人がアメリカをボロボロにした』(産経新聞出版・2011年刊)でも詳説したが、江沢民の息子や孫に限らず、中国共産党幹部の子孫たちは、この十数年、華麗な「紅色貴族」の人生を歩んできた。多くは北米や英国の名門大学へ留学して修士や博士号を取得し、クリスチャンネームを持ち、北米や豪州の永住権もしくは市民権(帰化)を取得し、国内外に豪邸と超高級車を幾つも保有し、妻子に加え二桁の愛人まで囲いと、グローバルかつ金満で奔放な生活を送っている。

 たとえ相当に出来が悪く素行すら悪かろうと、親の威光を背中に米国ウォールストリートのJPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックス、モーガン・スタンレー、クレディ・スイス銀行、ドイツ銀行、シティ・グループといった世界的な銀行や証券会社に身を置き、中国の経済発展を追い風に、政企不分(政治と企業が分かれていない)の特性も最大限に悪用しながら桁違いなカネを扱う方法を覚えてきた。元来博打好きで覇権主義のDNAも包含する紅・官二代は、ハイリスク&ハイリターンを追求する金融という魔力に取りつかれたのだろう。

 ウォールストリート・ジャーナル紙をはじめ、国内外のメディアがこの数年、紅・官二代のウォールストリートへの灰色就職について、ウィリアム・デーリー(1997年1月~2000年7月、クリントン政権で商務長官を務め、2011年1月よりオバマ政権で大統領首席補佐官に任命された)の関与などを報じており、米ホワイトハウスの一部と中国共産党の一部勢力との癒着は否めない。

 また、中国の外貨準備を多元的に投資する目的で、2007年9月に2000億ドルで創設した中国投資有限責任公司(CIC)が最初の投資先に選んだのは、ニューヨークに拠点を置くプライベートエクイティファンド(未公開株、PE)大手のブラックストーン・グループだった。CICから30億ドルの投資を受けたブラックストーンは、同年に上場。リーマン・ブラザーズを退職した金融のプロが1985年に設立し、今や世界最大規模の投資運用会社とされるブラックストーンの主要株主には、今日もCICが名を連ねる。

 そして「ブラックストーンのような評価の高い会社に、最初の投資が行えることは大変に喜ばしい」と語ったCICの初代董事長・楼継偉は、習政権で財務部長(大臣)を務めている。