どのような若者達がこのような状態になるかご存じだろうか。炎上が起きるのは、上記のような“バイトテロ”以外にも、他人を盗撮したり、未成年飲酒をしたり、線路に立ち入ったり、キセル行為をしたりなどの違法行為、迷惑行為や他人が不快に思う行為などをした場合に起きることが多い。

 しかし中には、レイプをした人の擁護ととれる発言をしただけで炎上し、内定取り消し処分されてしまった人もいる。動画配信をしていた時、ゲームの違法ダウンロードを告白してしまい、炎上して個人情報をさらされる羽目になった小学生もいる。確かに彼らは“悪いこと”をした。しかし、彼らは既に多くの罰を受けている。事件から数年経った今でも名前を検索すると炎上事件と個人情報が見つかる事態は、彼らの罪と見合うのだろうか。

問題ある投稿はしない姿勢が大切


 「忘れられる権利」が浸透することで、彼らが自分の過去から逃れられる可能性が出てくるのは喜ばしいことだ。ただし、「忘れられる権利」が徹底したとしても、残念ながらそれで彼らが完全に救われるとは限らない。たとえば次のような例がある。

 カナダの15歳の少女アマンダ・トッドさんは、2012年9月にYouTubeに学校とFacebookでいじめを受けていた実態を告白する動画を投稿。その一カ月後、16歳の誕生日を前に自殺してしまった。彼女は中学1年生の時にウェブカメラでチャットをするようになり、そこで知り合った相手に褒められて、請われるままにトップレスになってしまう。1年後、知らない男性がFacebookを通じて彼女を脅迫し、トップレス写真をばらまいてしまったのだ。アマンダさんはショックでうつ病やパニック障害を患い、引っ越ししたがいじめは続いた。

アマンダ・トッドさんを悼むFacebookページ

 アマンダさんの問題は、中学1年生の時に悪意を持った相手にトップレスの写真が渡ってしまい、多くの人にばらまかれたことから始まった。このように、写真などを個々人が保存・コピーしてしまうと、削除しても再アップロードされてしまい、いたちごっこ状態となってしまう。つまり、「忘れられる権利」だけでは、事実上消すことはできなくなってしまうのだ。

 「忘れられる権利」が浸透するのは、炎上事件を起こした若者たちにとって救済措置になる可能性がある。しかし、それ以上に大切なのは、そもそも問題ある写真や投稿はしないなどの基本的な情報リテラシーを身に付けることだろう。現状でもプロバイダ制限責任法により削除依頼は可能なので、インターネット上からできる限り問題ある情報を削除する努力も必要だ。若者達が若気のいたりで問題ある投稿などをしないよう、周囲の大人は見守ってあげてほしい。