NPO法人「栃木DARC(ダルク)」で行われる薬物犯罪初犯者への
更正教育プログラム=2010年7月3日、宇都宮市の栃木ダルク
NPO法人「栃木DARC(ダルク)」で行われる薬物犯罪初犯者への 更正教育プログラム=2010年7月3日、宇都宮市の栃木ダルク
──そうすると、その6カ月のプログラムは、医療になるんですか?

石塚
 いろいろなケースがあります。ドラッグ・コートを作るときに、裁判所の所長が一定の予算と裁量権をドラッグ・コート裁判官に与えます。その裁判官は、処遇プログラムを提供するプロバイダー、プログラムを提供するグループと契約を結びます。契約先が精神病院であることもあります。プロバイダーには、日本の民間組織であるダルク(DARC)のようなところもあります。いろんなグループがあって、この事業への参加を希望するプロバイダーを全部集めて、定期的にコンペティションをします。信頼できるプロバイダーが多いようですが、なかには、余り信頼できそうもないプロバイダーもいます。

 ドラッグ・コートでは、まず、被告人の家庭環境、交友関係、生活歴、薬物との親和性などについて調査をします。調査は、日本で言う保護観察官や家庭裁判所調査官に相当する人が行います。公判前にカンファレンスがあり、裁判官、検察官、弁護士、調査をした保護観察官等、それにプロバイダーが加わって、「この被告人にはどういう処遇をしたらいいだろうか」を自由に議論します。

 そこでコンセンサスができると、裁判官や関係者が法廷に行き、開廷ということになります。裁判官が被告人に、「犯罪事実について認めますか?」と尋ね、「認めます」ということになると、「君のために私たちは考えたんだけど、薬物を止めるためには、このプログラムがいいと思うんだけど、どう?」というふうに聞く。本人が「やります」と言えば、「それなら、今日は、判決を言い渡しません。1カ月後にもう一度いらっしゃい。そのときまで、処遇プログラムに通い、定期的に保護観察官のところへ行って薬物検査をしてください。6カ月後もあなたがきちんとプログラムをやっていれば、刑務所へはいかなくていいことになります」。このようなやりとりから、プログラムが始まります。