国連女子差別撤廃委員会の会場で立ち話する中国出身の委員(右)と
韓国人弁護士=2月16日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部(藤木俊一氏撮影)
国連女子差別撤廃委員会の会場で立ち話する中国出身の委員(右)と 韓国人弁護士=2月16日、スイス・ジュネーブの国連欧州本部(藤木俊一氏撮影)
 しかし、歴史問題で日本を攻撃する中国の委員の言葉です。杉山審議官の毅然とした答の前には、揚げ足取りの屁理屈にしか思えませんでした。
「『歴史の否定』というご発言は事実に反する。強制は裏付けなし。軍の関与というのは、慰安所の設置、移送、医療提供である。『20万人』も誤りで、性奴隷も事実に反する。ゾウ委員のご意見は、いずれの点においても受け入れられない。事実に反することを発言していると言わざるをえない」

 遅きに失した感はありますが、この日の答弁だけを見ると満点に近いと感じました。

「英語で公表されない」!?


 ところが、翌朝にジュネーブを発つ間際、たいへん残念な情報が飛び込んできました。現地のジャーナリストによれば、「昨日(16日)の(女子差別撤廃)委員会の日本政府の英文の質疑を国連が公表しないと言っているようです。ここジュネーブのジャーナリストから、今朝、私の携帯に電話があり、英文のやりとりの書面はプレスにも公開しないと言っているとのことで、抗議をしてもらっています」というのです。

 これでは、今回の画期的といってもよい日本政府代表団の答弁が日本以外では報道されないことになります。国際社会に拡散した慰安婦問題の虚構を否定する第一歩には、到底なりえません。冒頭で、今回の代表団答弁が「後年、歴史戦争の反撃の一歩を踏み出したと評価されるかもしれない」と書いたのは、国連が事実上の「非公表」措置をとったという、この情報があったためでした。

 では、この情報が真実だとしたら、なぜこうなったのか。推測に過ぎませんが、考えられることが幾つかあります。一つは、国連という国際的な公的機関としてあってはならないことですが、CEDAWが日本政府代表団の答弁をよしとせず、葬りさろうとしているのではないか、ということです。

 CEDAWに日本を歴史問題で攻撃している中国人委員がいることは先に述べました。さらにCEDAWの林陽子・現委員長は、フィリピン人の元慰安婦らが1993年に日本政府に国家補償を求めて起こした訴訟の原告団(団長は高木健一弁護士)事務局長だった人物です。彼らの存在が、日本政府代表団の答弁の実質「非公表」という事態に関わっているのかいないのか。

 もう一つは、日本政府、外務省が実質「非公表」となることを見越して、CEDAWに対して今回の答弁内容を事前に文書で回答しなかったのではないか、ということです。文書で回答していれば、国連サイトにただちにアップされます。しかし、口頭による発言は、必ずしもアップされるとは限りません。山本優美子さんのワーキングミーティングでの発言で紹介した「(慰安婦は)性奴隷との表現は不適切」という2014年の自由人権規約委員会で表明された日本政府の見解も、口頭でのもので国連サイトでは見られません。