ところが、昨年末の日韓合意の後、それが「国連等国際社会では非難、批判し合わない」といった合意内容をそのまま記した文章に差し替えられようとしていた──とのこと。官邸筋が異を唱え、「強制連行を示す書類は見つかっていない」という短い文章をなんとか付け加えた回答書が提出されたのです。

 回答が差し替えられた経緯の詳細は現在もわかっていません。国連のHPに英文で公表されている政府のCEDAWあて報告書の最後には、[Note] The replies in this docume
nt (except Question 9) are as of December 8, 2015. とあります。12月8日付でもともとの回答を提出して、日韓合意の後に9(慰安婦問題の部分)を書き直して再提出したのか。元々の回答は送ってなかったのか。そして現在国連サイトで公表されている回答はいったいいつ提出されたのか。経緯を調べるため、「日本のこころを大切にする党」の和田政宗参議院議員から質問主意書を提出していただき、政府からの回答を待っています。
「私たちの努力で掴んだ日本の名誉回復のチャンスをなぜみすみす放棄しようとするのか」と落胆しましたが、私なりに取材を進めるうちに、その大きな原因が見えてきました。日韓合意が影響していたのです。

画像はイメージです
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 日韓合意の真の目的とは何だったのでしょうか。

 アメリカをはじめとする第三国に保証人になってもらい、日本と韓国両政府が、合意内容をもとに「慰安婦問題」を「最終的かつ不可逆的に解決する」ことだと私は考えています。合意の内容は多少相手に譲ったとしても、これが「最終的かつ不可逆的に解決」であることが大切なはずです。

 その合意がなされたばかりというタイミングでのCEDAW日本セッションです。これまでであれば、「謝罪しています」「賠償しています」で済んでいたのでしょうが、今回はそうはいきません。委員会が「『強制連行はなかった』という意見を聴取した」として回答を求めているからです。日本政府として「強制連行があった」と国連の場で嘘をつく訳にもいきません。一方で「強制連行はなかった」、「20万人の性奴隷」は嘘だと答えれば「日本が先に日韓合意を破った」と指摘される可能性があります。