フェミニズム革命を遂行する国連は先ず、内閣府に「男女共同参画局」「男女共同参画会議」という日本革命支部の設置に成功し、次に、「歪曲された男女平等概念(ジェンダー・イクォリティ)」への司法権からの妨害を阻止するため司法権から独立した「革命監視委員会」の設置を目論んでいるのだ。もちろん、人権委員会は「女性差別」だけを取り扱うことを目的とした機関ではないが、設置されればフェミニズム革命を遂行する国内機構はほぼ完成する。フェミニズム政策を唱える人物を批判すれば、人権委員会により女性差別者として弾劾されかねない。あるいは「反革命」として。人権の名の下に、かつての共産圏社会と同類の恐怖社会が出現する。

 付言すれば、人権委員会を法務省所管とする人権擁護法の法務省案に反対しているのは、日本の左派リベラルの政党や市民団体(NGO)である。彼らとまったく同じ意見が撤廃委の勧告に盛り込まれていることは、国連にNGOの意向が反映されるパイプがあるということである。

 国連と日本政府の力関係をよく物語っているのが、内閣府男女共同参画局が発行しているメールマガジン「男女共同参画情報メール」第八十三号(平成十七年三月四日付)に掲載された「マンハッタンから始まる男女共同参画の未来」と題する一文である。筆者は同局男女共同参画推進官、高安雄一氏。ニューヨークの国連本部で三月十一日に開幕した「北京+10」(第四十九回国連婦人の地位委員会閣僚級会議)のリポートである。

 「ハイレベル一般討論では、世界190力国から集まる男女共同参画を担当する大臣級がそれぞれの国のステートメントを発表します。ステートメントには各国が男女共同参画を進めるために、この10年間に行ってきた取組を盛り込むことが求められています。男女共同参画行政に携わる者としては、このステートメントに世界に誇れる取組を盛り込みたいとの思いで日々の業務に励んでいます」

 「聴衆の反応は極めて正直で、素晴らしいステートメントには惜しみない拍手がなされる反面、場合によってはブーイングもなされかねません(中略)日本国政府代表団に段々と緊張感が高まってきました」

 「総会議場を埋め尽くした各国大臣 NGO、国連幹部などの注目を受けつつ、西銘首席代表から高らかに発表されるのを目の当たりにして、私は感動を禁じ得ませんでした。ステートメントが読み上げられた直後の会場の様子は、我が国の10年間の動きが世界に誇れるものであったことを物語っていました」

 このリポートから読み取れるのは一種の宗教的陶酔感、あるいは革命党本部の総括を待つ活動家の緊張感である。そこには、国益を代表し、例えブーイングが起きても冷静に対処すべき外交官としての姿は伺えない。政府は挙げてフェミニズム革命に熱狂しているようにさえ見える。恐ろしいことではないか。

「国連信仰」の呪縛を解け


 「北京+10」のような国連の世界女性会議は一九七五年以降、五年あるいは十年毎に開催されている。そこで、NGOを称する世界中のフェミニスト団体が各国政府代表に圧力をかけ、あるいは協力して、フェミニストの要求が恰も世界中の女性の支持があるかの如く仮装して、会議毎に出す様々な宣言を正当化し、世界のフェミニズム化を進めているのである。
 以上見てきたように、国連が、各国の司法、行政、立法に国民をすっぽかしてずかずか介入することを許容していいのか。明らかに主権を国連に簒奪されている。主権者は日本国民である。政府にも国会にも、国民の主権を国連に譲渡する権限はない。

 外務省は、条約批准時の国会答弁で嘘をついて国民を騙し(回を改めて解説)、フェミニズムのイデオロギーや国連の実態を知らない政治家の目を盗んでCEDAWを批准に持ち込んで日本国の主権を放棄した国賊集団である。フェミニズム革命日本支部である内閣府男女共同参画局と男女共同参画会議の解体、外務省の抜本的組織改善、そしてCEDAWの批准撤回を要求する。

 国連はフェミニズムのイデオロギーを取り入れて得体の知れない「妖怪」になったと言っていい。それを「平和の使徒」と崇める日本の「国連信仰」は愚の骨頂である。即刻捨てさらねばならない。

みつはら・まさし 昭和十五(一九四〇)年、鹿児島県出身。四十一年東大経済学部卒業、郵政省入省。平成五年退官後郵政貯金振興会理事、 TVQ九州放送北九州本社代表などを歴任。教育を考える会会員。
(※iRONNA編集部注:肩書き等は『月刊正論』掲載当時のものです)