西側諸国の途上国対策


(WCF「KEEPING FAMILY IN THE UN'S AGENDA」より)
 現在の国連において、フェミニズム的思想が力を持ちえた事情は、前項で述べたように、社会主義者やフェミニストが国連を洗脳することに成功したためだけではない。

 1994年、カイロにおいて国連国際人口開発会議が行われ、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康の向上の権利)が、今後の人口政策の大きな柱となることが合意された。つまり、妊娠中絶・堕胎がオーソライズされた会議だったのである。会議は表向きには、「世界の人口爆発に対する危機感を背景として、人口政策を討議」したと言われているが、その背景には、西側諸国の或る思惑が存在していたのだ。カナダの保守系女性団体で国連特殊諮問資格NGO「REAL Women」副代表で弁護士のグウェンドリン・ランドルト女史は、「国連カイロ国際人口開発会議で大きな変化が起こった。世界中で自然の家族を徐々に蝕む試みが国連で最初に行われたのは、この会議だった…国連で自然の家族を徐々に蝕む試みの背景にある理由は、人口統計が西側諸国の人口の著しい低下を明らかにし始めたという事実による。西側が世界の政治的経済的バランスオブパワーを保つことが困難になったことを予告されて、この事実が西側の国に大きな警鐘を鳴らしたのだ」と述べている。
 西側、主に欧州の人口低下と途上国の高出生率によって生じるバランスオブパワーの揺らぎを防ぎ、移民を抑止するために、そして途上国の天然資源を確保し続ける為に、発展途上国に人口抑制を強制するのが、この国際人口開発会議の真の姿だったのである。しかし発展途上国の多くは、この反生命・反家族の方針を拒否した。そこで国連や西側諸国は、発展途上国の抵抗を弱めるために、世界銀行のような国連機関からの援助を交渉ツールに使うとともに、フェミニズムを発展途上国に輸出するという新たな戦略を考えたのである。途上国の女性にフェミニズムによる洗脳を行い、女性たちが自主的に家族や子供から離れるように仕向けたのである。

 ここで、西側先進国の思惑とフェミニズムが手を組み、フェミニズムは国連で大きな位置を占めることになった。そして、家族破壊のために働く軍団がフェミニストNGOたちなのである。ランドルト女史は自らの国連会議出席の体験を踏まえて、フェミニストNGOが国連において如何に優遇され、権力を振るっているかを次のように述べている。

 「国連は、多くの反家族NGO(大部分はフェミニスト)を、西側政府の反家族政策を進める熱心なパートナーとして用いた。西側諸国の政府は、これらのNGOに多くの助成金を支給して、国連の中で彼らに政治権力の中枢に易々と参加させている…無責任なNGOは、国連で巨大な影響力を持っている…カイロの人口開発会議で、ニューヨークを拠点にしたアメリカのフェミニストであるベラ・アブズーグが…カイロのアクションプランは、自分達が書いた文書であると宣言するのを聞いて、私はショックを受けた。少数のフェミニストに、世界中の何億もの人々の命に影響を及ぼす国際的文書を変える力をもたせる国連は明らかに間違っている!」「フェミニストNGOは、時々彼らの国の代表派遣団のメンバーにもなる。カナダ政府が行っているように、NGOに発展途上国の代表に働きかけをさせるために、NGOの会議出席費用は政府が負担しているのだ」

 日本政府も、こうした画策をする「西側諸国」の一員であるのかどうか、また、反日NGOの会議出席費用を負担しているのかどうか確認する必要があるだろう。それにしても、先進国の、発展途上国への遣り口は植民地時代と全く変わらないものではないだろうか。「人権」「平和」という一見美しい理想を掲げている国連の欺瞞性を、まざまざと見せ付けられる思いである。

 尚、カイロ会議で暗躍したベラ・アブズーグは元米国下院議員で95年の北京女性会議でも大きな役割を演じた。その北京会議では「ジェンダーの主流化」が決定されている。これについて日本のフェミニストらは、女性だけではなく男性にも配慮した視点で、男女が平等なパートナーとなる施策を行うことになったと伝えているが、ランドルト女史は「北京会議の行動綱領の『ジェンダー』という言葉の包含する意味について、闘いが勃発した。国連の戦略家は、全社会共通の男女間の役割分担が生物学的違いに基づくのではなく、社会的文化的に作られたものと考えるべきであるとした」と批判している。

 「ジェンダー」は数年前から国内でも問題視されるようになったが、フェミニストらが「ジェンダー」という言葉を使った真の目的は、男女のパートナーシップなどではなく、生物学的な男女の区別を無くすことにあったことが確認頂けると思う。05年の男女共同参画基本計画の改定にあたって、フェミストらは「中立的な概念である」「国際的に『ジェンダー』という言葉が問題になっているということは聞き及んでいない」(男女共同参画基本計画に関する専門調査会)などと強硬に主張、最終的に「ジェンダー」が計画に残されることになったが、ランドルト女史の指摘は、その欺瞞性をも浮き彫りにしている。