WCFによる国際的な家族擁護運動は、このように国連がフェミニズムや左翼思想に支配された状況下で始まった。彼らは会議を開くだけでなく、国連の中で家族擁護のために戦っている。私達が今回アメリカで会った草の根保守女性団体・CWAのジャニス・ショー・クラゥズ博士はブッシュ大統領のスピーチライターをしていた女性で、ブッシュ政権から2003年の子供サミットへ米国公式代表に任命された人である。彼女は国連女性の地位委員会にも出席しているが、フェミニストから随分嫌がらせと中傷を受けながらも戦っている。また、国連第60回会期(04年3-4月)で、同性愛保護のために世界人権宣言の文言を変更する決議案が提出された時にも、家族擁護のNGOが、この改正案に反対するロビー活動を展開して阻止したという。プロチョイス(妊娠中絶支持)に傾きつつある国連に、プロライフのロビー活動を展開して、国連がこれ以上家族破壊へ進むことにストップをかけているのがWCFのメンバーなのである。

 アラン博士は、国連の歴史を学ぶ中で得たことは「思想は結果を持つ」ことだと述べている。キリスト教民主主義の小さなサークルで発展した考えの結果が、国連機構を家族支持にした。そして次に、スカンジナビアの社会主義の小さな集まりの中で発展した考えが、国連を反家族にした。そして今我々が行うべきことは、家族擁護/妊娠中絶合法化反対の新たな展望を作り、その思想を結果として国連に反映させることなのである。

 トリグブ・リー、ダグ・ハマーショルド、アルバ・ミュルダルは、国連に社会主義的世界観を入れ込むことに最終的に勝利した。我々もまた、家族に対する攻撃を弱らせ防ぐためにNGOとして積極的に国連に参加して、国連事務局内にいる「家族の支持者」を擁護し助けて、そして、国連で社会政策に影響を与えることのできる国際的運動を構築しようと、アラン博士は呼びかけている。

 博士の「家族の道徳観を基礎とする全ての宗教的なものを抱きしめねばならない」という言葉に、私は深く揺り動かされた。WCFの家族擁護の運動は、「家族を大事にする」という価値観を大切にするが故に、キリスト教もイスラム教もユダヤ教も、宗教も宗教ではないものも全てを超えて結び付いている。WCFのその精神は、アラン博士の、世界の全ての文化や伝統を守らなければならないという言葉にも表れている。

 CWAのクラゥズ博士は、1920年代、英国の人類学者J・D・アンウィンの86の社会を対象にした調査で、放埓なセックス開放時代の1世代後に、その社会の文化は内側から崩壊してしまうという結果を紹介して、アメリカも数十年、セックス開放の時代を過ごしたと述べた上で、「国は、不可侵の結婚制度に基づいて作られる強い健康な家族なしで、長く持ちこたえることができない…あらゆる世代は、真実を維持するために戦わなければならない。我々の戦争は結婚制度を保護して、社会の強い基盤としての家族を建て直すことである。我々の挑戦は文化的戦争であり…そして、最も熱心に最も断固とした意思を持って継続させる人たちが制する戦争である。文化戦争は、我々の国の魂と我々の子供たちの将来のための戦いである…人々の歴史には、(過去の過ちに対して)清算しなければならない時代がある…清算すべきは我々の時代である」と述べている。

 アメリカの草の根保守運動に携わる方々に接して、「国は家族が作るものであり、家族の守りは国の守りである」という自覚と信念を感じた。この信念は筆者を含めた多くの日本人に欠けているものではないだろうか。国の礎である「家族」を守るという明確な意思を持ち、来年ワルシャワで行われるWorld Congress of Families Ⅳに同志と共に参加して、世界的な保守の連帯の中で国連の問題に取り組んでいきたいと考えている。

 最後に、日本政府は出生率を上げたいのならば、国連の出生率神話に踊らされて女性の社会進出と子育ての社会化を促すような政策を即刻止めるべきである。そして子供から親への尊敬と信頼を奪う現在の教育を改革して、親子の絆を強くする教育のあり方を考えるべきである。国の主権を守るために、根拠の無い国連信仰は止めて、「遥か海の彼方に住んでいる国連の官僚」から、私たちの暮らし方を決められることに「ノー」と言うべきである。安倍新内閣には、家族政策を含めた過去の誤った政策のすべての清算を断固として行って頂きたい。

おかもと・あきこ 主婦、ジャーナリスト。今年4月に「児童の健全な育成を守るNGOネットワーク」を結成。神奈川県在住。共著に『ちょっとまって!夫婦別姓』(日本教育新聞社出版局)『まれに見るバカ女との闘い』(宝島社)『家庭教育の再生』(学事出版)など。
(※iRONNA編集部注:肩書き等は『月刊正論』掲載当時のものです)