この「ティルト・ローター機」こそ、オスプレイである。中期防が明記したとおり、オスプレイはCH-47を「補完・強化し得る」。だから、自衛隊が導入する。なぜ今「米軍オスプレイがさらに必要なのか」(朝日記事)。朝日が本気で「疑問」に感じているなら、先ず中期防から勉強してほしい。さらに朝日記事はこう続く。

 《「オスプレイに対する国民の恐怖感をなくすために慣れてもらおうということで、こういう機会を利用しているとすれば、けしからんことだ」。共産党の小池晃書記局長は18日、朝日新聞の取材に語った》

 これ以外、記事が報じた「疑問の声」はない。もし被災者が落下事故を恐れているなら、報じる意義もあろう。だが、そうした声は聞かない。反対に感謝の声なら、ネット上にあふれている。それでも朝日は被災者ではなく、日本共産党書記局長を「取材」した。

誰のため、何のために書いた記事か



海上自衛隊の護衛艦「ひゅうが」の艦上でオスプレイに生活支援物資を積み込む自衛隊員=4月19日午後、熊本県の八代海(海上自衛隊提供)
海上自衛隊の護衛艦「ひゅうが」の艦上でオスプレイに生活支援物資
を積み込む自衛隊員=4月19日午後、熊本県の八代海(海上自衛隊提供)
 それだけではない。「政治的な効果」の見出しを掲げ、「安倍晋三首相」の「方針転換」を揶揄し、「防衛省関係者」の「説明」として「米軍オスプレイの支援は必ずしも必要ではないが、政治的な効果が期待できるからだ」と報じた。どこの誰か知らないが、オスプレイがCH-47を「補完・強化し得る」事実を御存知ないなら、もぐりであろう。さらに記事はこう続く。

 「米軍普天間飛行場のオスプレイには、騒音被害や事故への懸念が絶えない。自衛隊が陸自オスプレイ17機を佐賀空港(佐賀市)に配備する計画も、地元の反対で進んでいない。/しかし、今回オスプレイを十分に活用できれば、その安全性や性能を広く知らせる機会となりうる」

 明らかに読者と世論を誘導している。救援目的ではなく、「政治的な効果」を狙ったオスプレイ投入との印象を読者は抱く。暗澹たる思いを禁じ得ない。「オスプレイには騒音被害や事故への懸念が絶えない」というが、それは朝日らが自ら喧伝してきた「懸念」に過ぎない。私がテレビや雑誌で指摘してきたとおり、他の機種と比べ、特段に危険な航空機ではない。騒音もむしろ小さい。

 念のため付言するが、私は御用学者ではない。事実「政府は安全神話を語るべきでない」と最初にマスメディアで苦言を呈したのは、他ならぬ私である。原発同様、オスプレイも「100%安全」とは言えない。そもそもこの世に、ゼロリスクなどあり得ない。残念ながら、いずれオスプレイも事故を起こす。今日、熊本で起きるかもしれない。だとしても、その可能性は非常に低い。

 他方、オスプレイの救援活動で人命が救われたり、被災者の健康が保たれたりする蓋然性はきわめて高い。事実そうなっている。独善的なイデオロギーを排して客観的・学術的に、確率を踏まえたリスク評価をしてみよう。オスプレイ投入で得られる利得は、投入に伴う損失(リスク)より桁違いに大きい。誰がどう計算してもそうなる。

 朝日新聞は頭が悪いのか。それともパシフィズム(反軍平和主義)に染まっているのか。どちらにしても度し難い。いったい誰のため、何のために書いた記事なのか。頼むから、これ以上、現場の足を引っ張るのは止めてほしい。