決選投票、TPP、日米安全保障まで不公平


 さらに、獲得代議員数において過半数の1237人に最も近い数字を残した候補が指名を獲得できずに、決戦投票で突然現れた第3の候補に指名を奪われるのも不公平であると論じるのです。トランプ候補には、そもそも共和党全国大会で新しいルールで指名獲得を行うこと自体が不公平であるという意識が強いのです。同候補は、新しいルールをエスタブリッシュメント(既存の支配層)とワシントンにいるインサイダーによって作られたものだと主張して、反エスタブリッシュメント並びに反インサイダーに訴えるのは間違いありません。

大統領予備選の投票に並ぶアリゾナ州の人たち=2016年3月22日、ギルバート(AP)
大統領予備選の投票に並ぶアリゾナ州の人たち=2016年3月22日、ギルバート(AP)
 トランプ候補の不公平に関する議論は続きます。通商問題と安全保障政策においても、トランプ候補は不公平理論を展開します。北米自由貿易協定(NAFTA)及び環太平洋経済連携協定(TPP)は相手国に有利な協定であり、米国には不利で不公平であると捉えています。

 トランプ候補は、米ニューヨーク・タイムズ紙とのインタビューで日米安全保障条約について、「米国が攻撃されても日本は何もする必要がない。日本が攻撃されれば、米国は全力で出かけていかなければならない」と述べて、条約が片務的で非常に不公平であると主張したのです。ここでも、独自の不公平理論に基づいて論じているのです。

 ニューヨーク州での決戦を前に、トランプ候補は同州ロチェスターで集会を開き、現行の共和党予備選挙・党員集会の制度を「不公平なシステム」と批判したうえで、民主党予備選挙・党員集会についても触れたのです。同候補は、バーニー・サンダース上院議員(無所属・バーモント州)が各州で勝利を収めても、ヒラリー・クリントン候補に勝てないのは、民主党の選挙制度が崩壊しているからだと指摘したのです。

 余談ですが、トランプ候補と同様、今回の大統領選挙において民主党候補指名争いで旋風を起こしているサンダース上院議員も、不公平理論を使用しています。ウォール街に公的資金を投入して金融機関を救済したのだから、今度は学生ローンに苦しんでいる若者をウォール街の金融機関が彼らを救うのは当然だと言うのです。

 本論に戻りましょう。では、どうしてトランプ候補は今回の米大統領選挙において不公平に関して繰り返し言及するのでしょうか。それに関して、以下で説明しましょう。