7月の共和党大会で何が起きるのか?


 そうは言っても、トランプ氏が共和党候補者選びで首位を走っていることにかわりはない。普通の年であれば、勝ち目がなくなった候補者が撤退していくので、「今年はもう××で決まり」という流れができる。党内の関心は副大統領候補の人選や政策綱領などに移り、党大会で行われる代議員投票は単なるセレモニー、というのが「吉例」である。

 問題は、トランプ候補があまりにも多くの敵を作ってきたことにある。「敵を作ってそれを罵倒し、メディアの注目を集めて、支持者の溜飲を下げさせる」というパターンを繰り返してきたために、党内の敵が増え過ぎてしまった。特に主流派(Establishment)は、あらゆる手段を講じて「トランプ氏の正式指名」を避ける構えである。

 そもそもトランプ候補では、本選での勝ち目は非常に低いだろう。2016年選挙に負けるということは、大統領選における共和党3連敗を意味するし、最高裁判事のバランスもリベラル派優位に転じることになる。また「トランプ大統領」を目指して戦うとなると、議会選挙への影響も危惧される。さらにトランプ候補の言動は女性や若者、マイノリティ層の評判が悪過ぎるので、中長期的な党勢の衰退にもつながりかねない。 ゆえに早い時期から、「今年は党大会が勝負」と見られてきた。いわば相手が投了してくれないから、即詰みにするまで指さねばならない将棋のようなものである。

 あらためて整理すると、今後の候補者選びには以下の4パターンが考えられる。

① トランプ候補の獲得代議員数が1237人を超えて、党大会前に決着する。この場合は党主流派としても認めざるを得ないだろう。
② トランプ候補は1237票に届かないが、2位とは大差がついているので「民意を尊重すべき」との声が上がり、2回目の投票で「トランプ指名」で決着する[3]。
③ 2回目以降の投票で2位のクルーズ候補が勝利する。この場合は党の手続きに則っているので、トランプ陣営としては異議を唱えにくい。
④ 2回目以降の投票で、ライアン下院議長、ロムニー前大統領候補などの「予定外の候補」が急浮上して勝利する。本選でクリントン候補と戦う上では「タマ」が良くなるが、トランプ本人とその支持者たちは当然、反発するだろう。

 上記のうち①の可能性がほぼなくなったとして、②~④の3通りのどれで考えても、共和党が誰か1人の候補者の下に団結できるとは考えにくい。つまりトランプ(反主流派)、クルーズ(宗教右派)、ライアン(主流派)の誰が候補者となっても、党内不一致は否めない。下手をすれば党の分裂もあり、という悩ましい状況である。