「トランプ支持者」は何を考えているのか?


 2016年選挙においては、共和党予備選への参加者が前回2012年選挙よりも増えていることが知られている。こうしたニューカマーのうち、多くが「トランプ支持者」であることは想像に難くない。今までは不満があっても、政治参加をしてこなかった人たちである。おそらくは世の中の変化から取り残され、「自分たちは無視されている」と感じていた人たちであろう。そういうトランプ支持者たちが、既成の共和党の価値観に溶け込んでいくかというと、そこはかなり疑わしい。
 トランプ支持者の思考パターンについて、興味深い証言がある。トランプ陣営で働いていた幹部が後に「亡命」し、支持者向けに「公開書簡」を公表しているのである(”An Open Letter to Trump Voters from His Top Strategist-Turned-Defector” by Stephanie Cegielski / Mar 29, 2016)[4]。彼女は当初、こんなことを考えていた。

In 2015, I fell in love with the idea of the protest candidate who was not bought by corporations. A man who sat in a Manhattan high-rise he had built, making waves as a straight talker with a business background, full of successes and failures, who wanted America to return to greatness.


 彼女はめでたく、トランプ支持のスーパーPACのコミュニケーション・ディレクターの職を得る。与えられた任務は、"to get The Donald to poll in double digits and come in second in delegate count."であった。つまり2位になることが目標で、2桁の支持があれば十分であった。つまりトランプ氏にとって大統領選出馬は、少なくとも当初時点では「自分の言いたいことを言って、『ザ・ドナルド』を全米に売り込むこと」が目的であった。 ところが人気が出過ぎてしまう。本人もだんだん勘違いが入ってきて、手が付けられなくなってしまった。彼女は真剣に後悔し、こんなメッセージを発することになる。

He certainly was never prepared or equipped to go all the way to the White House, but his ego has now taken over the driver's seat, and nothing else matters. The Donald does not fail. The Donald does not have any weakness. The Donald is his own biggest enemy. I'll say it again: Trump never intended to be the candidate. But his pride is too out of control to stop him now.

 You can give Trump the biggest gift possible if you are a Trump supporter: stop supporting him.

 つまりトランプ氏自身もその支持者も、本気で大統領を目指していたわけではなかった。「抗議の声」をあげるという目的はあったが、具体的に何かをしたいというプランはない。こんな勢力が内部にできてしまったのでは、共和党はもう政党としての一体感を維持できなくなるのではないか。党大会への道はますます多難と言わざるを得ない。