日本人はなぜ共和党の方が好きなのか?


 ところで日本国内では、「親米派は共和党寄り」という法則がある。なぜそうなるのかについては、日本経済新聞の伊奈久喜特別編集委員の説明が詳しい[5]。
「伊奈理論」によれば、日本が民主党よりも共和党を選ぶ理由は3点ある。
1. 地理的理由:日本はアラスカ州と同じ「レッドステーツ」である。アラスカ州がずっと共和党支持であるのと同様に、昔はソ連、今は中国との最前線にある日本は非融和主義的イメージがある共和党に傾く。

2. 歴史的理由:ベルサイユ会議で人種差別撤廃提案を葬ったウィルソン、日系人を隔離したルーズベルト、原爆を落としたトルーマンなどは民主党である。日米安保条約改定に忚じたアイゼンハワー、沖縄を返還したニクソンなどは共和党である(つまり民主党は反日政権、共和党は親日政権に見えてしまう)。

3. 心理的理由:自民党と共和党は保守同士で親和性がある。日本の鳩山政権は、「民主党同志」の日米関係構築に失敗した。また米側の対日政策関係者を見ても、共和党にはアーミテージ元国務副長官のような「義理・人情・浪花節が分かる人」がいるが、民主党には見当たらない。

 かくしてオバマ政権が8年目を迎えた今も、日本外交における民主党人脈は乏しいままで、「いずれ共和党が政権に帰ってくれば…」といったことが語られがちである。しかるに共和党は、われわれが知っていた共和党ではなくなっているのかもしれない。真面目な話、「トランプ大統領」や「クルーズ大統領」が誕生したとしても、日米関係のキーパーソンは誰になるのか、ちょっと見当がつかないのである。

 思えばこの10年ほどの米国社会の変化は、あまりにも激しかった。政党のアジェンダもどんどん見直していかなければならない。イラク、アフガン戦争で傷ついた後では、「強いアメリカ」と言っても今までとは違う「強さ」が必要になるだろうし、貧富の差」がこれだけ拡大した後では「プロ・ビジネス」など冗談じゃない、といった反忚になるだろう。ということは、共和党が変わるのも当然ということになる。

 最後に、今週の『週刊ダイヤモンド』に登場している親米派、長島昭久衆議院議員のコメントを紹介させてもらおう。

「ここまでの大統領選挙を見ていると、米国社会が抱えているゆがみが想像以上に深刻だと感じます。(中略)僕がいた1990年代の活気ある米国とは、まったく違っています」


[2] ウィスコンシン州予備選以前の詳細な「票読み」としては、ラリー・サバト教授の下記をご参照。 http://www.centerforpolitics.org/crystalball/articles/assessing-trumps-path-to-1237/
[3] ちなみに共和党大会のルールでは、投票2回目では代議員の57%が自由投票となる。さらに過半数に達しないと、投票3回目では81%が自由投票になる。以下、延々と繰り返す。
[5] 日本経済新聞2014年2月2日朝刊 風見鶏「なぜ日本は『共和党』なのか」を参照した。
(公式ホームページ『溜池通信』より2016年4月8日のReportを転載)