トランプをめぐり三分される日本の保守層


 親米保守的傾向が強い産経新聞は、筋論でいえば共和党主流派が推したルビオへの支持が順当であったが、彼が地元フロリダで敗北し予備選から撤退すると、にわかに「トランプ準備論」とも言うべき論調が目立ってきた。

 福井県立大学教授の島田洋一氏は、3月24日付の産経新聞で「日本は”トランプ政権”を視野に入れつつ、安全保障問題を中心に、より自律的姿勢を強めていくべきだろう」とコメント、トランプの姿勢を基本的には批判しつつも「自律的姿勢」という言葉を用いて対米自立の姿勢を匂わし、「トランプ準備論」ともいうべき主張を展開している。

 旧来型の親米保守は-そしてこれが現在の保守層のマジョリティであるが-、いまだにトランプへの嫌悪感を引きずっている。例えば保守派の論客で知られる神奈川大学教授の小山和伸氏は、CS放送内で「(トランプがアメリカ大統領になった場合)日本はアメリカ無しでチャイナと戦う。それでいいんでしょうか」(2016年3月23日)と述べ、露骨なトランプ批判を隠さない。

 親米保守にとってトランプは「日米同盟の強力な靭帯」破壊の害悪であると認識されているが、と同時に自主独立を目指すある種の右派・保守にとっては逆説的に「またとない機会」と受け止められ始めている。

 つまりトランプへの評価を巡って、日本国内の保守層は「三分」されていると観て良い。

 この構造を図示すると下記のようになる。

 1)は「反メディア」「反リベラル・左派」としてのトランプ支持で、所謂「ネット保守層」の大きな部分を占める。ここに該当するのが前述した田母神氏や馬渕氏、といった論客の論調だ。

 2)は古典的な親米保守の立場からトランプを批判するもので、前述の島田氏はこの中でも3)のベクトルに近い、より柔軟な立場であり、逆に小山氏はど真ん中、ということになる。

 最後の3)は1)と2)のほぼ何処にも属さない民族主義的な対米自立志向の保守主義者であり、前述の例を用いれば倉山氏、ということになる。あるいは改憲論者である橋下氏にもこの傾向は顕著に現れていよう。

 たったひとりの大統領候補(しかも予備選)の段階で、こうも保守層からの評価が分裂する現象は珍しい。