嫌ならゾウは檻に入らない


 そしてこれが重要なのですが、たいていの動物園では、どんなに素晴らしい生態展示をしている場合であっても、夜間はコンクリートと鉄でできた無機質な狭い檻に入れます。しかしこれは悪いことではありませんね。良いことです。そうしなければいけませんね。狭い檻に入れるからケガや体調のチェックができるのです。フンの状態もすぐに確認できますね。特別に調合した餌や薬も与えやすいですね。それに保温も確実にできます。

 私は以前に狭くて見通しの悪い(故意に見通しを悪くしている)ケースの中でワニを飼っていました。それを一般の方が見学されたとき「なんと残酷な飼い方をしているのだ!恥を知れ!!!」と物凄いお叱りを受けましてね。しかし個別にされた動物は、食べた餌の量が確実にわかります。それに見通しが良いケースは人に都合がいいだけで、そもそもワニは人を見たくないのです。水の中にいる動物に薬をやる場合、餌に混ぜて与えることもありますが、水量に対して投薬することもあるので、個別に小さいケースで管理する方が状態良く保てます…。つまり野生の状態に近づけたように見える飼育設備の中で飼うことが、すべての動物にとって幸せに近付くわけではないということです。

 そして何より大事なのは今回の主役、ゾウさんたち。狭いコンクリートの檻の中、好きですね。だから毎日自ら入ってきます。ただ餌が置いてあるから入るわけではありませんよ。ゾウは途轍もなく頭がいいので、嫌なら入りません。断固として抵抗します。

 僕を含め、動物を擬人化したりイメージで接してはいけませんね。今回のはな子だけではないはずです。もっと多くの動物たちが人間の勝手なイメージにより、混乱するような扱いを受けているはずです。我々はたとえ少しずつでもそれに気づき、改善してゆかなくてはなりません。そのためにも我々人間の経験と研究が、動物園という知られざる秘境の門を開き、未来のため地球の生態系の保護・促進を導くことに関与し、生物多様性の一員として参加しようではありませんか!